「誰彼」ゴミSS

(作:今回に限り匿名希望)

※多少のネタバレを含みますので、それを承知の上で御覧になって下さい。

了承できない方はプラウザの「戻る」で即座にお戻りをば。

 

 


坂神蝉丸。

旧帝国陸軍特殊部隊所属。大戦末期、常人の数倍の身体能力を持つ「強化兵」として改造を受け、そして最初にして唯一の完成体となった。が、時代は終戦を迎え、強化兵という存在は歴史の表舞台に立つこともなく、軍事機密という影の中に消えていく。

だが五十数年後、隠匿されていた強化兵達は突然、解放されてしまうことになる。50年という時間を超えて。

 

月代 :つまり、蝉丸ってミカドロイドみたいなもんね?

夕霧 :…キャプテンアメリカ日本版って感じです。

高子 :するとニッポンタイショーとかいう名前で、日章旗をモチーフにしたコスチュームとか…

麗子 :当然、盾は菊の御紋しか!

蝉丸 :…意味はよくわからんが皇軍を愚弄していないか、お前ら?

 

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光岡悟。

蝉丸にとっては幼馴染の親友であり、同門であり、戦友であり、そしていつか決着をつけなければならない永遠の宿敵でもある。

 

月代 :悟さん、かぁ…

光岡 :悟でいい。

坂神は蝉丸と呼ぶのだろう。同じように呼べ。

月代 :あ、じゃあ悟。…セ○ィ○スって呼んでもいい?

光岡 :…意味はよくわからんが断固として拒否する!

月代 :ちぇー。みんなそう思うに決まってるのに〜

光岡 :ちぇーじゃないっ!

 

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蝉丸 :「らじかせ」に「しーでぃー」か。成る程、蓄音機と音盤みたいなものだな。…しかし高子?もう少し、静かな曲はないのか?

高子 :あら?OP曲の「旅人(唄:Kaya)」のCDなんですけど…お気に召しませんか?

蝉丸 :騒々しいだけだ。

 

ダッダッダッダッダッダッダッダッダッドバン!

 

月代 :せみまる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!(バキイッ!)

蝉丸 :ぐはあっ!?…つ、月代、お前、入浴中ではないのか?婦女子がそんなあられもない格好でだな…

高子 :そうですよ月代ちゃん、ここはさっきの選択肢で「部屋に戻る」を選んだコースなんですから。それに月代ちゃんはこれから岩切さんに入浴を覗かれなきゃいけない予定のはずでは…

月代 :そーゆー身も蓋もないこといわないでっ!

それより!蝉丸、あんた自作のOP曲にケチつけるんじゃない!

蝉丸 :お前も十分身も蓋もないぞ!…いやしかしだな、設定上、こうゆう曲は俺はあまり好みではないわけで…

月代 :それ以上危険な発言を続けるなぁ――――――!!(ベシバキィ!)

蝉丸 :ぶばあっ!?…つ、月代、お前、夜の強化兵相手にこの強力極まりない「打ち」は…拳闘でもやっているのか!?

岩切 :…なんで誰もいないのだ?

…困ったな。

…私一人でどうこの場を盛り上げろというのか。

………。

…や、やはり、場所柄だけに入浴サービスでもせねばダメか…?

 

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蝉丸 :きよみ…お前は、本当にきよみなのか!?

きよみ:ふふ…私はきよみよ。どうしたっていうの、蝉丸さん?

蝉丸 :…本物なのか…?なら…ならば、証拠をみせろ!

きよみ:証拠?たとえば?

蝉丸 :…そうだな…そういえば…本物のきよみなら、「はなげ」をやってみせろ!

きよみ:…はな…げ…?

蝉丸 :そうだ!その艶やかな黒髪を鼻に持っていって、「はなげっ!」というのがきよみの十八番の持ちネタだった!

きよみ:(わ…わたしの原身(オリジナル)って一体…!?)

 

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月代 :夕ちゃ〜ん、ちょっとお下げ貸して〜

夕霧 :えっ?…あ、ああっ!?ダメ!それだけはダメっ!!

月代 :うっふっふっふっふ〜、必殺・三つ編みはなげ〜〜〜!!

夕霧 :いやあああああっ!月代ちゃん、それ下品よぉっ!一体どこでそんなこと覚えたの!?

月代 :どこで、って…いつの間にかやるようになってたけど。なんていうか、体が覚えてるって感じ?

きよみ:(ああっ…や、やっぱりそうなの?私にも同じ血が流れてるのっ!?)

犬飼 :…だからお前は失敗作なのだ…。

 

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老蝉丸:お前にはわかるまい…歳をとるということがどういうものか…

高子さんの豊満な胸にも奮い立てない枯れた男の寂しさというものが…

蝉丸 :む

高子 :む、って…蝉丸さん?(− −;

 

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御堂 :ケッケッケッ。どうだ坂神、光岡?いい目の保養になるだろうが。

光岡 :ふむ。強化兵の苦手な水気の多い場所で、隠形を維持し続けるか…しかも万一にも発見されればいかな俺らとてただでは済まない。実戦さながらの緊張感だ。

坂神 :うむ。精神的な訓練としても効果的だな。

御堂 :ケッ、この青二才どもが。…せっかく年長者としてお前らに漢の浪漫を教えてやろうと思って、この秘密の覗き場所を教えてやったんだぞ。少しは感謝しやがれ。

光岡 :フッ…女風呂の覗きが漢の浪漫とは…

坂神 :しっかりついて来ている時点で俺達も同類だ、光岡。

光岡 :…うむ、否定はできんが。

しかし、俺たちの陰形を強化兵ではない一般人が感知できるわけも…

???:む?…そこにいるのは誰だっ!?

「「「い、岩切――――――――――――!!?」」」

御堂 :し、しまった、あいつも女だってこと忘れてたぜッ!

光岡 :むう、仕方ない。ここは迅速に撤退するしかあるまい、御堂!

坂神 :うむ!この状況では水戦試挑躰の奴が有利!速やかに移動しよう、御堂!!

岩切 :御堂!?お前か、この下種がっ!

御堂 :ああっ!?ちょ、ちょっとまて、そんな殊更に大声で人の名を…

ズシャアアッ!

岩切 :御堂!覗きとはなんと破廉恥な…貴様、それでも軍人かっ!!

御堂 :うおっ!?は、早いいいいっ!?陸上でもこれほどの俊敏さとは…

!お、おい、光岡、坂神…って、アレ〜〜〜〜!!?既にいないッ!?

岩切 :おい。この後に及んでそのような見え透いた嘘をつくな。あの二人がお前のような真似をするものか。…しかし同じ部隊の仲間を巻き込もうとは、つくづく性根の腐り果てた奴。

御堂 :い、いや、確かにさっきまで一緒に俺が誘ってこの秘密の場所にだな…

岩切 :ほほう…貴様、初犯ではないということか。

御堂 :…へ?

岩切 :御堂…痛覚を持って生まれてきたことを後悔させてやろう…

御堂 :お、お、おい、ちょっとまて、その軍刀はなんだっ!?お前、強化兵だから死にはしないと思ってないかもしかして!?

岩切 :安心しろ、せいぜい全身なます斬り程度だ。

御堂 :おおおおおおおっ!?本気だなお前!?

岩切 :…なにか言い残すことはないか?御堂。

御堂 :……あ〜。

    ……。あ、お前、結構着痩せする性質なんだな?

岩切 :ブッ殺す!

御堂 :うひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?

坂神 :…それ以来、御堂は日光や熱には高い耐性を持つが、水には過剰な程の恐怖を覚えるようになってしまってな。おまけに何故か俺達を目の敵にするようになるし。

月代 :…それはドキッパリと蝉丸達が悪いと思う。

高子 :あの…旦那様?蝉丸さんって、旧帝国陸軍の特殊部隊…って、つまり、エリートってことですよね?

老蝉丸:ふむ。まあ、エリートというか…鍛え抜かれた精鋭中の精鋭、帝国陸軍最強の兵士ということじゃが…

月代 :…なんとなく…日本が負けたのもわかるよーな気がする…

 

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 その、広大な地下空洞に根を張る「生命の樹」の前で。

50年の歳月を経て相対した二人の強化兵はいつ果てるとも知れない苛烈な、しかし美しくも凄惨な剣撃の応酬を重ねた。

突き、払い、流し、斬りこみ、斬り上げ、斬り下ろす。

その攻撃と同じ数だけ防御が繰り返され、その度に噛合う鋼が火花を散らす。

二人の手に握られる跋扈(ばっこ)の剣――鳳と麟は光の軌跡と化して虚空を乱舞する。それはあたかも二人の達人と一対の剣によって演じられる舞踊であるかのように。

月代と夕霧は息をすることさえ忘れたようにその舞踊に見入っていた。いや、魅入られていた。その舞踊が終わる時、それは二人のうちのどちらか…あるいは二人ともその永遠の命を散らしてしまう時だということを忘れたわけではない。だが、いまこの瞬間の連続の間だけは、ただ、見入るしかできなかった。麗子でさえ、常の不敵さを喪失して二人を見守っている。

そして、年老いた弟…雄司の傍、車椅子に座して五十年間微動だにしないきよみ…白くなった髪以外は時の止まってしまったきよみ。見開かれてはいるが、決して何も映してはいないその瞳には。

いや。本当に、その瞳には何も映ってはいないのか?

人形と化してしまったきよみの顔に、今、微妙な変化が表れてはいないか?

二人の幼馴染…蝉丸と悟の決闘に、その剣戟の光が煌めく度に。

そして、その瞬間が訪れる。

二人の剣が互いの技と気の流れによって、既にずっと前から決まっていたかのような軌跡を描く。互いの攻撃は互いの防御をすり抜けて、そして互いの身体の奥深くまで続く、定められた軌道へと。

互いの剣尖がその軌道に乗る…

 ダメだ。

 ダメだ。ダメ。

 そんなことはしちゃいけない。

 どうして、あなたたちは…!!

「だめえええええええええええええええええええええっ!」

 その叫びを二人は、二人だけが理解していた。聞き間違えるわけがない。忘れるわけがない。

 懐かしい、声。

「…はなげっ!」

 

 ずがっしゃああああああああああああんん!!

 

「あら?」

 きよみは、1人の例外もなくずっこけている一同を、白髪の「はなげ」のポーズのままで見渡した。

「…殺伐とした雰囲気を和ませるための、お茶目な洒落だったんですけど…もしかして、受けちゃいました?」

「くだらないだけだっ!」

「ああっ…きよみ…お前ってやつわ…」

「うわー、蝉丸、悟、刺さってる、刺さってるよ剣が!」

「あー。あの位置は心臓ね」

「しれっと診断しないで下さい麗子先生!」

 シリアスムードから一気にギャグになってしまったが、いくら強化兵と言えども心臓を一突きというのはちょっとシャレにならないツッコミである。

「…って、ツッコミで済むか〜〜〜〜〜〜〜〜!?」

「でも結構元気じゃん、蝉丸」

「蝉丸さん。…仙命樹の生命力にギャグ体質が加わったら不死身ですよ」

「ううっ…俺はそんな体質は欲しくない…」

 雄司の指摘に思わず泣いてしまう蝉丸である。

「…悟さん…」

「きよみ…まさか最後にお前のはなげが見れるとは思っていなかった…」

 半身を朱に染めて、言葉と共に己の命の最後の雫をこぼす悟に、きよみは悲しげにとりついていた。

「ああっ!?なんか人が葛藤している間に二人だけの世界作ってやがる!?」

「…イマイチ、シリアスに成りきれてないところが悲しいですけどね…」

 夕霧が困ったように頬を掻いた。

「蝉丸…きよみ…いいんだ。どの道、俺は永くは生きられなかったんだ…。

 蝉丸、きよみはお前に譲る…これからは俺の分まで、きよみを守ってやってくれ…」

「光岡…お前…」

 よろめく足に力を入れながら、ともすればかすれてしまいそうな声を蝉丸は必死になって喉から押し出した。

「そんな…『はなげ』でずっこけて転んだはずみに心臓に剣が刺さっちゃったなんて阿呆な死因のくせに、そんなカッコいい台詞言っちゃって許されると思ってるのか?」

「済まないが、俺は先にいく。…二人とも、幸せにな…」

「悟さんっ!!」

「光岡ッ…!

……悟うううううううううっ!お前って奴はあっ!まーた俺1人に厄介事を押し付けて!こら!目を開けろ!強化兵がこれくらいで死ぬかっ!あ、今口元がピクツとか動いたぞ!死んだ振りしてるだけだろ実は!?」

「…蝉丸さん」

 つつ、ときよみは蝉丸の肩に頬を寄せた。

「…私、いま、とても幸せです」

「押してる押してる」

「だから、そーいう身も蓋もない発言は控えろ月代!

 …こんなんでいいのか!?いくらギャグでもこんなんでいいのか?

 やりなおしを要求する――――――――――――!!」

 でも終わる。

 

 

 

END)

 

 

 

 

 

【後書き】

誰彼の世界ブチ壊しまくり(‐‐;

まあ、おもいつきだけのゴミSSですので、ネタバレな点もありますが思いっきりデタラメな箇所もありますので、本気にしないように。

特にきよみの「はなげ」なんて、デタラメでしょ?万一にも信じないように。

実はこのSS書き上げた後に「麗子の小部屋」をやりまして。

…しまった、と思いましたね、ええ。

なにそれ?という誰彼未プレイ者はちょっと買ってきてプレイしてください。

割とあっさり終わりましたので、忙しくて長くて攻略キャラがたくさんいるゲームやってる暇のない人種にはいいかも。

とりあえず、一番のお気に入りは…

岩切花枝さんだったりします。

 



 ☆ コメント ☆

セリオ:「みなさん、面白い方達ですねぇ」(^^)

綾香 :「そ、そうね」(^ ^;

セリオ:「非常に個性豊かですし」(^^)

綾香 :「ま、まあね」(^ ^;

セリオ:「知りませんでしたよ。『誰彼』ってギャグ作品だったのですね」(^^)

綾香 :「それは……あたしも知らなかったわ」(^ ^;

セリオ:「きっと、モニターの前でゲラゲラと大笑いしてしまうような作品なのでしょうね」(^^)

綾香 :「……そうなのかなぁ?」(^ ^;

セリオ:「お腹を抱えて転げ回ってしまうくらいのお話なのですね」(^^)

綾香 :「う、う〜ん?」(^ ^;

セリオ:「おそらく、吉○新喜劇のようなコテコテなお笑いも含まれているのですよ」(^^)

綾香 :「う〜〜〜ん、どうだろ?」(^ ^;

セリオ:「そのくせ、ちょっぴりハートウォーミングだったりするんですね、きっと」(^^)

綾香 :「……………………」(^ ^;

セリオ:「ああっ、素敵です。素敵すぎます。なんて素晴らしい作品なのでせう」(^0^)

綾香 :「……勘違いしてる。絶対に何か大きな勘違いをしてる」(^ ^;;;





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