2000TYPE−MOON 『月姫』

「秋葉ちゃんの社会実習」
  その2 「デートをぶっ潰せ!


 

志貴の一言で始まった
志貴にとっての「秋葉の社会実習」
秋葉にとっての「兄さんとのデート(ハート)」
が決定された
しかし志貴は大きなミスに気が付いていなかった
それは人外兵器の2人(アルクェイド&シエル)に聞かれてた事に・・・

 

話が終わると志貴は今までの疲れの為に再び寝ようと2階の自室に向かい、
秋葉は感謝の気持ちに志貴のお世話をしようと志貴の後を追って部屋から出て行った

「あはー。秋葉様嬉しそうでしたねー」

と、琥珀は周りの事にも気にしなく笑顔で語った
だが口元がひくひくとなるのは気のせいではないだろう
(デートうんぬんではなく、志貴に抱きついた事に)

「秋葉さんはこの際関係ありません!
重要な事は遠野君がデートするという意味です!!」

「そうだー,そうだー!」

普段はケンカ(並大抵のレベルではない)2人だが、志貴に関する事なら協力もする

「優しい遠野君ですから、ただ純粋に兄としての行動だったとしてもそれとこれは話が別です!」

「妹が志貴を独占するのが悔しい――!」

秋葉に嫉妬の炎をめらめらと「これでもか!!」と言うくらいに燃やしながら叫びだした

「そうとなればやる事は1つですね、アルクェイド」

「もちろん! デートの阻止!」

「志貴様を傷付ける事は許しません」

暴走まっしぐらな2人に冷めた口調で話に割り込む翡翠

「大丈夫ですよ。そんな事は絶対にしません」

「私も、志貴には怪我してほしくないもの」

「・・・そうですか」

あっさり引く翡翠
やはり前から知っている彼女は羨ましかったのだろう

「それじゃ、『遠野君(人によって呼び名変更)のデート中止派』をここに宣言します!」

「お――――!」

「はい」

「は――――い」

もちろん参加するのはシエル・アルクェイド・翡翠・琥珀
だが、琥珀だけは気づいていた
シエルが言った「優しい遠野君」がデートを先延ばしをしても
楽しみにしている秋葉の為に中止することはないのだと

(みなさんまだまだですねー。なぜ私がデートと提案したのかという事に。
ここはデート中に妨害するのが楽しいじゃないですかー )

周りに合わせながら琥珀は当日の作戦に頭を働かせていた

話し合いに結果、
「志貴が日曜日に動けないか、別の用事を入れてしまえばいい」
という結論になった(志貴を傷つけるのは厳禁)
作戦は各自の自由

 

では、各自の作戦とその結果


『有彦君を使って遠野君に用事を入れてもらいちゃいましょう』作戦
実行者 シエル

作戦名で解るように志貴の親友である有彦(志貴に言わせれば悪友)に
頼んで用事を入れようとしたようだ
有彦に暗示をかけて操って・・・

昼休み

「遠野、日曜日に付き合ってほしい所があるから一緒に来い」

「無理だ。俺はその日に予定があるからな」

1秒で断る志貴
志貴は用事がなくても有彦の誘いなら99%の確立で断るだろう
だがあきらめない有彦(シエル)は強行を続けるが、
その繰り返しで結局失敗に終わった

それではシエルさんに一言

「うーーーん。やっぱり男の子ではだめですねー」

 

その頃、秋葉が居る女学院では
秋葉と晶が話をしていた

「ええぇぇ! それじゃ志貴さんとデ、デートなんですか!?」

「ええ、そうよ」

晶はこの経緯を聞いていたが半分以上は秋葉の作り話である
合っているのは「志貴がバイトをしていた・秋葉とデート」のみである
その理由はものすごくてかつ割させてもらうが最終的には意味は合っている

「・・・・・・」

「どうしたの、瀬尾?」

「遠野先輩!! 今日、遠野先輩の家に遊びに行っていいですか!?」

「え、ええ。いいわよ」

晶の気迫に少し引きながら頷いた
秋葉の家に行き本当の理由を聞いたが、
デートするという意味は合っているのを知った晶は『志貴さんのデート中止派』に参加
だが、家が離れすぎている為に何もできないと気付いていなかった

 

『魅了の魔眼で妹ではなく私が志貴とデート(ハート)』作戦
実行者 アルクェイド

作戦名でわかるので説明はカット

志貴は自分の部屋くつろいでいると、アルクェイドがいつも通り窓から入ってきた

「志貴―、ちょっと」

「なんだ?、て・・・・」

「ふふふ、成功、成功。
ねぇ、志貴。妹より私の方がいいよね 」

「もちろんだよ、アルクェイド。
秋葉には悪いけど。 」

「それじゃ、妹に断ってきて」

「ああ」

部屋を出て行く志貴にアルクェイドは喜んでいたがそうはいかないのが世の常である
廊下で「パンッ!」と音がしたと思ったら志貴が戻ってきた
なぜか翡翠も一緒である

「アルクェイド、どういうつもりだ?」

志貴の声の中に怒りが混ざっているのにアルクェイドは気付いていた

「あははー、志貴。よく正気に戻ったね」

「翡翠が助けてくれたんだよ」

「はい。志貴様を見かけたときに様子がおかしかったので声を掛けました所、 全てわかりました。
志貴様のお顔の前で両手を叩いて(いわゆる猫だまし)正気に戻させてもらいました」

顔中に汗を垂らしながら聞くアルクェイドに静かな(怒気80%)声で答える志貴と翡翠
その言葉に翡翠を見るアルクェイド
この部分の会話はアルクェイドと翡翠のアイコンタクトの会話である

(ちょっと、なんで邪魔するのよ!)

(確かに『志貴様のデート中止派』に入ってますが、それ以前に志貴様専属のメイドです。
志貴様を守るのが私の使命。しかも、志貴様を操るとは言語道断です)

(うっ、それは・・・)

などアイコンタクトの会話でも劣勢なアルクェイド

「覚悟はいいな」

「しき―。こわいー」

パンッ!!

「にゃっ!!」

志貴の猫だましに心底おどろくアルクェイド
やはり猫のだろうか?

それでは、アルクェイドさんに一言

「私、猫じゃないよー」

 

そんな事がありながら、秋葉は・・・

「うふ、うふふ、うふふふ・・・・・・」

カレンダーを見つづけ1人笑っていた
しかも、めちゃくちゃ妖しかった
カレンダーには日曜日に大きな○が付いており、
その前の週の初めには×がある
この○が近づく事に妖しい笑いが長くなっていたという(琥珀談)

 

『男の子がだめなら女の子ですよ』作戦
首謀者 シエル
協力者 さっちん

基本的には前回の作戦のままであるが誘う相手を変更
シエルが目を付けたのはクラスメイトの弓塚さつきである
作戦に協力的だったので暗示なしで実行
(さっちんも志貴に好意があるから当然である)

「遠野君、日曜日に付き合ってほしい所があるんだけど」

「えっ、ごめん。俺その日に予定があるんだ」

「そうなの。どうしても無理?」

いつになく強気なさっちん
恋する乙女に遠慮はいらないらしい

「うーん・・・。それじゃ、来週でいいか聞いてみるよ」

「わぁ、ありがとう。遠野君」

ひとまず保留に決定
この時シエルは、さっちんに「遠野君をモノにするライバル」と認知
その日の晩に志貴は秋葉にこの事を言うと

「いいですよ。私達のデートはいつでもできますから」

と、あっさり承諾
だが夜にさっちんが大怪我をして入院になり、秋葉とのデートの約束が続行

 

朝に優雅に紅茶を飲んでいる秋葉は独り言を呟いていた

「私と兄さんのデートの邪魔はさせないわ。
たとえ何が起ころうとも・・・ふっ 」

 

めでたく入院行きとなったさっちんに一言

「あの夜、赤くて長い髪の女の人が・・・あうっ!!」

べしっ!!

「余計な事は言わない方が身のためよ」

ガタガタガタガタ・・・

 

 

『お弁当』作戦
首謀者 琥珀 
実行者 翡翠

琥珀の提案で翡翠の作った弁当を志貴に食べてもらう作戦である
翡翠自身の自分が作る料理の腕(というより味覚)は知っていたが、琥珀の強い勧めと
なにより志貴に食べてもらいたいので協力
ある意味アルクェイドの作戦よりつらいだろう

「それじゃ、行ってくるよ」

「待ってくださいー、志貴さん」

「何ですか、琥珀さん」

「今日はお弁当がありますので持って行って下さいー」

「へぇ、珍しいね」

「はい、ついでに言うと翡翠ちゃんの手作りですよー」

ぴしっ!

「こ、琥珀さん! い、今なんと?」

「ですから翡翠ちゃんの手作りです。
頑張ってましたから、残さず食べてくださいねー 」

タタタタタタタ・・・・

「・・・・・・」

 

昼休み

「・・・・・」

弁当を机の上に置きひたすら悩んでいる志貴君
この弁当を食べれば倒れるのは目に見えている
だが、琥珀の一言が志貴にこれほど悩ませている

(頑張ってましたから、残さず食べてくださいねー )

翡翠が自分の為に頑張ってくれたのに食べずに残すという事に、
志貴の心が許さなかった

 

志貴が絶体絶命の危機に晒されている頃、
秋葉はかつて寮のルームメイトであり良き相談相手である、
月姫蒼香と昼食を食べていた

「へぇ、兄さんとデーとねぇ」

「ええ、そうなんですよ。」

「で、わざわざその事を言う為に私を呼んだ訳ではないだろ?」

どこか冷めた言葉遣いであるが月姫蒼香とはこういう人物である
それどころか、話し相手がよく知っている相手である為まだましな方である
何事にも簡潔にまとめようとしているが、その行動が的に得ている為相談相手にされるのが多い
秋葉曰く「かっこいい女の子」である

「はい」

「で、何だ」

「実は先程お話した通り兄さんにはお金を渡していませし、
それどころかバイトまで禁止していました。
その為私に隠れて無理してバイトしてデートに誘ってくれましが、
その間私はいつも兄さんに文句をいったり怒っていました。
そんな私が兄さんとデートしても良いのかなと・・・」

秋葉は素直に心の中にある事を話した
表向きは人外兵器の2人や双子のメイドの妨害を阻止していたが、
心境は兄に遠慮しているのだ

「そうか・・・」

秋葉の心境を知った蒼香は頷いたが、

「では2、3聞くが良いか?」

「はい」

「お前はデートに行きたくないのか?」

「・・・いいえ」

「では行きたいか?」

「・・・はい」

「デートに行って兄と楽しみたいか?」

「はい!」

「そうか。では行けばいいだろ」

「はい?」

思わず目が点になる秋葉

「行きたいのを無理して我慢する必要などない。
お前の兄も社会勉強うんぬんの前に、
お前に楽しんでもらいたいのだろう」

「ですが・・・」

「お前の相談は何回も受けているが、その度に必ずと言って良いほどお前の兄が出てきている。
私なりに解釈してもその兄がそれぐらいの事を気にしていないはずだ。
それはお前が1番わかっているはずだろ?」

「・・・・・・」

「それどころか逆にお前が断れば兄に失礼に値する。
では答えは決まっている。」

「兄さんとデートを楽しむ・・・」

「そうだ。いちいち悩む必要はない。
自分がやりたい事をすればいい。」

「そうですね!! わかりました!!」

秋葉もやっと気付いた
私が愛する兄さんがそんな事を気にするはずはない
秋葉のためにバイトをしたのもデートに誘ったのも志貴の本心だという事を・・・
逆に秋葉はその兄に最悪の結果にしようとしたのだ

「もう1つ言わせて貰えば、その兄の優しさに甘えるだけではないぞ」

「ええ、社会勉強も兄に頼らず自分で頑張ります」

「それで良い」

これで解決したと思い蒼香は昼食の続きを取ろうとしたが、
秋葉の質問は続いた

「もう少し相談したい事があるのですが・・・」

「この際だ。聞こう」

「もう一度先程の話を繰り返してしまいますが、
兄さんにお金を上げたり、バイトを許した方がよろしいのでしょうか?」

「それは本人の問題だ。一度聞いてみたらどうだ?」

「わかりました。そうします」

これで相談も終わりと言うように昼食を取り始めた2人だったが、不意に蒼香が

「しかし、お前の兄というのは良い奴だな」

「ええ、私の自慢の兄さんですもの」
(それと最愛の男性です)

後の言葉は秋葉は心の中で答えた

「私もその兄とやらに会ってみたいものだ」

「よろしいですよ。いつでもご紹介します。」

さりげない会話の一言だったが、
この事により志貴を狙っている5人ぷらすα(晶)&β(さっちん)
に脅威的なライバル出現したかどうかはまた別の話

 

一方、話の中心の志貴君は・・・

「うーーん、うーーん、うーーん・・・」

何とか食べ尽くした志貴であったが倒れてしまい早退したそうな・・・(合掌)
土曜日に何とか体調が戻りデート決定
だがその事が秋葉に知られてしまい

「翡翠、琥珀、覚悟は出来ているわよね?」

「・・・はい」

「たぶん出来てませんー」

「そう、別にどっちでも構わないわ。
まず翡翠にはデートの日まで私の手料理を食べてもらいます」

「っ!!」

「琥珀にはいつもの刑で許して上げる」

「はうー」

「まずは琥珀から・・・」

「はうーーーーーーーーーーー」

ちゅうぅぅーーーーーーーーーーーーー

 

では、翡翠さんと琥珀さんから一言

「複雑な気分です」

「翡翠ちゃん、諦めてはいけませんよー」

 

そしてついに運命の日が来た・・・

 

 

「続くぞ」

 

 

(おまけ)

今、志貴は翡翠の手料理を食べ、あの世とこの世をさ迷っていた

「ここは何処だろう?」

志貴の独り言に答える者はいないはずだが、なぜか後ろから答えが返ってきた

「ここは簡単に言えば三途の川です」

志貴は慌てて後ろに振り返ると1人の女性が立っていた
どことなく翡翠と琥珀に似ているというのが志貴の感想だった

「驚かせて申し訳ありません。
私は翡翠と琥珀の母です」

「ええっ!? 翡翠と琥珀さんのお母さん!?」

「はい、あなた様は翡翠の料理を食べてちょっと逝ってしまっているだけです」

(・・・翡翠よ、君の料理はそんなにひどいのか)

志貴が翡翠の事で(正確には料理の味覚)に悩むんでいると

「志貴さん、ありがとうございました」

突然、礼を言われた志貴は二人の母を見た

「私が家の禁を破り二人には苦労をかけましたが、あなた様と秋葉様のおかげで幸せに暮らせるようになりました」

「そんな・・・」

志貴は秋葉はともかく自分が二人に何かしてあげたようには思っていなかった

「そんなことはありません。俺は何もしていません。
翡翠と琥珀さんは今までが不幸だっただけで、これからはいくらでも幸せになります。
そのためなら俺は何でもします」

「そうですか・・・
あなた様が気付かなくもあの子達が幸せなら良いのです。
それどころか、もっと幸せにしてくれるなら私はもう言う事はありません。
どうか、二人の娘をお願いします」

「はい」

この言葉を聞いた時、志貴は本当にこの人は二人を愛していたのだろうと知った

「では、そろそろお別れです。娘達にはよろしくと言っておいてください」

「はい、わかりました・・・」

「それでは、志貴さん。二人を志貴さんのお嫁にしてくださいね」

「はい?」

感動の別れのシーンだったのにさらっと、爆弾発言

「え、だって志貴さん娘達をもっと幸せにしてくれると、おっしゃったではありませんか?」

「な、なぜそこで嫁という単語が出てくるのですか?」

「だってそれがあの子達にとって最高の幸せなのですよ。
親の私が言うので親公認ですよ」

嬉しそうに話すお母さんの顔を見て志貴は

(この笑みは琥珀さんにそっくりだ)

と思わずにはいられなかった

「では、志貴さん。よろしくお願いします」

「ちょ、ちょっと・・・」

 

志貴が目が覚めたのは本文にも書いたとおり土曜
その時、翡翠と琥珀が看病の疲れか隣で眠っていた
1番に志貴を手に入れるのは幸せそうに眠る二人かも知れない・・・

 

 


 

あとがき

どうも、siroです。
前回のSSに誤字脱字があまりにも多かったですね。
Hiroさんの掲示板にも書きましたがタイトルが間違っていたのには驚きました。
こんなミスをしてしまう私ですがどうか見捨てないでください。
さて今回のSSには未公開キャラも登場しています。
TYPE−MOONさんがだしている月姫の設定資料集から登場しています。
もし知らなかったらそんなキャラがいたんだと思うくらいで結構です。
(ただし、喋り方は不明なので勝手にしました。まともに受けないでください)
今度は有間親子を出したいなぁ
では、続きでお会いしましょう。





 ☆ コメント ☆

アルク:「ううー。このままじゃ志貴と妹がデートしちゃうよー」

シエル:「……どうにかしなければ……」

秋葉 :「ふっふっふっ。無理よ無理無理。あなた方が何をしようと痛くも痒くもないわ。
     私と兄さんの仲は決して裂けません」(^^)

アルク:「ううううううううううーーーーーーーー」(;;)

シエル:「ま、まだ勝負は付いていませんよ」(;;)

秋葉 :「素直に諦めて下さい。あなた方に勝ち目はないのですから。
     おーっほっほっほ」(^0^)

アルク・シエル:「「うううううううううううううううーーーーーーーーーーーーっ!!」」(;;)

琥珀 :「あらー。勝ち誇ってますねー、秋葉さま」(^^)

翡翠 :「……ですね」(−−)

琥珀 :「もう勝った気でいるんですねー」(^^)

翡翠 :「……ですね」(−−)

琥珀 :「最終的な勝利者はわたしたちに決まってるのにねー」(^〜^)

翡翠 :「…………くすっ」( ̄ー ̄)ニヤリ





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