改訂版) 宝探しと誤解 3

いつものように二人でチョコレートを食べていると、

「ねぇカール、歌が聞こえるよ?」

ティックがそう言って耳をすます。

確かに歌声が聞こえる。

「あれは子守り歌だね。」

「子守り歌?」

「ああ、お隣りに坊やがいるだろう?もう眠りなさいって、

母親が歌ってるのさ。」

「カールはもう寝なくていいの?」

「いいんだよ。」

「どうして?」

「もう、大人だからさ。」

「ふーん。もう大人だからか。」

ティックはうなずいて、チョコをかじった。

僕も一口かじった。

ほろ苦いビターの香りが広がった。

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