イノダコ−ヒ−本店
その知らせを受けたとき頭を後ろから殴られた気がした
「イノダコ−ヒ−が火事で燃えちゃったよ」 そんなはずはないと思ったが、それは本当だった
イノダコ−ヒ−本店は、コーヒー好きな私の憧れで 京都に妹と通うようになってよく足を運んだ店だった 散策を始める朝に、朝食をとったり 京都に到着後、軽いランチを食べたりした いつもわくわくした気持ちでコ−ヒ−を楽しみ 妹との会話もはずんだ そういう思い出のたくさん詰まった空間だったのに
いつもそこに変わらぬ姿であるものだと信じて 疑わなかったのだ
形あるものは、人間もふくめて変わってゆくものなのに なぜ「変わらない」と思っていたんだろうか
イノダコ−ヒ−本店の火事のあと あの大原の寂光院の本堂も放火されて焼失した
しかし
イノダコーヒー本店は、あたらしく生まれかわった 私はそこでどんな思い出をつくるのだろう