試 乗 記 録


No.001 東日本旅客鉄道 快速「スキーライナー上越」号 水上 ⇒ 新潟

試乗日 1999年1月17日(

 

水上駅で発車を待つ165系アルファ車「スキーライナー上越号」と高崎行115系普通

 

 最近、165系列の動向に注目が集まっている。 一昨年の12月に運転された「佐渡」号や、長野五輪臨時急行

「安曇野」号など、この系列を使用した臨時列車には常に注目が集まっている。 ところで上越線は、山岳電車とも

いえる165系列の生まれ故郷である。

 上越線ではさすがに原色「湘南色」は姿を消したが、それでも快速「ムーンライトえちご」号として、毎晩元気に清

水峠を越えている。 また、週末には今回試乗する「スキーライナー上越」号が運転され、今でも昼間の清水峠越え

を満喫できる。 (ちなみにスキーシーズン以外は、「ホリデー快速アルプ」号として運転。)

今回は、まだまだ俊足衰えない老兵165系に試乗し、古き良き急行形の走りを満喫していこうかと思う。

 

 1999年1月17日。 今日は3連休の最終日とあっ

てか、にぎやかな中にも、ゆとりの感じられるここ上野駅。

ここから、今回の旅を始める事にしよう。 

 

 

 私は早速9番線に到着した、12:30発の快速「アーバン」高崎行きに乗り込み、上野を後にした。 そして、一路

関東平野を北上すること約1時間半、列車は高崎駅へ到着していた。

 この高崎で115系普通電車に乗り換え、一路水上を目指す。 その水上には、定刻の15:11分に到着した。

早速、湘南色の115系電車から降りると、あたり一面の銀世界が広がっていた。 また、跨線橋を渡った3番線側

には、新特急「水上」号待ちの乗客が沢山いた。 しかし、それも上野に向けて出発してしまうと、めっきり静まり返

ってしまった。

 

 出発5分前。 水上駅2番ホームに、「アルファ」色を纏ったクハ165−194を先頭にした、「スキーライナー上越」

号が入線してきた。 とても165系一族には思えない、カラフルな電車ある。 

 早速、私は新潟寄り1号車クモハ165−129に乗車した。 乗客は1両に10名程で、スキーを担いだ人は少な

かった。 また、小旅行と思われる20歳位のカップル客の他、鉄道ファンと思われる乗客3〜4名が、カメラバック

を担いで乗車してきた。 多分「シュプール上越号」の撮影に来たのだろう。

 

 やがて定刻15:35分になると、列車は静かに水上駅を出発した。 走り出すと一段一段、確実に刻むノッチの衝

撃が体に響いて来た。 また床下ではMT54モーターが唸りをあげるが、元急行型の165系については、耳障な

音ではなく、むしろ心地よい音に思える。 発車後数分経つと、やがて列車は新清水トンネルへ吸い込まれていた。

 このトンネル内ではモーター音が共鳴し、不思議な音を発していた。 途中、トンネル内の停車駅である土合駅に

停車の後、更に暗闇の勾配を登り続ける。 やがてトンネル内のサミットを超えると、モーター音が少し静かになっ

た。 やっと清水峠を越え、下りに転じて来たのである。 それからしばらく暗闇を走ると、やがてトンネルの出口付

近に到着していた。

 トンネルから抜け出た瞬間、辺り一面の銀世界が目に飛び込む。 列車は快調なジョイント音と、モーターの低い

唸りを発しながら、下り急勾配をを駆け下りていく。 それはまるでシュプールを描くように・・・。

 

            

  慎重なブレーキ操作で峠を下っていく        スキー客が上下車する石打駅

    (クモハ165−129の運転台)        (左方は新前橋区165系アコモ車)

 

 新潟側最初の停車駅である越後中里へ到着すると、早速スキー客10数名が乗り込んできた。 車内で記念撮影

でも始めたのか、後方でフラッシュが2〜3回光った。

 駅のすぐ横の越後中里スキー場では、カラフルなスキーウエアをまとったスキーヤーたちが、思い思いのシュプー

ルを描いていた。 越後中里を発車すると有名撮影地の岩原の大カーブを抜け、やがて岩原スキー場駅を過ぎて

いた。 そして程なく越後湯沢に到着した。 その越後湯沢では、上り線のホームをEF64―1001牽引の12系客

車(臨時列車)が通過していった。

 

 次の石打では、新前橋区の165系や、上沼垂区の485アコモ車が駐泊していて、バラエティー豊かな顔ぶれと

すれ違った。 石打発車後もスキー場最寄駅に停車し、その都度スキー客を乗せていたが、意外と一般用務客の

利用も多い様であった。 この列車には、上越線のローカル輸送も補完している性格もあるようだ。

 余談だがこのスジで、春から秋にかけて「ホリデー快速アルプ号」として、毎週末に運転されているので、地元で

は良く知られた列車である様だ。

 

     

北越急行が乗り入れる六日町〜越後湯沢間は多種多様な車両が乗り入れている

 

 ところでこの区間は、六日町まで北越急行が乗り入れているので、多種多様な車両が車窓を楽しませてくれる。

この辺りだけは、往年の上越線が復活したような路線である。 六日町を過ぎたところで車内を観察してみると、

各車とも20〜30名くらいの乗車で定員の40〜50%の乗車率と思われる。

 列車はさらに下り勾配を進み、浦佐へ近づく、ここで185系「シュプール上越」号とすれ違う。 その後も快調に暮

れなずむ魚沼路を飛ばしていく。 宮内で4分停車の後、長岡駅ホームに滑り込んだときにはもう日が暮れていた。

 

 新潟第二の都市であるここ長岡では、スキーヤーが大量に下車したが、変わりに家族連れや、用務客が乗り込

んで来た。 ここでは都市間連絡列車然としてきた。 この先はこまめに停車していく。

 長岡出発後も、快調な走りで越後平野を駆け抜けていく・・・。 確かに、スピードでは近郊型115系と同等ではあ

るが、明らかに乗り心地が快適である。 ここでも優等列車用として生まれたという違いを感じられる。

 

 三条駅で九分間の運転停車の後は、乗換駅となる新津に停車した。 ここでも乗換え客を中心に、乗客の変動

があった。 その新津を出発すると、いよいよラストスパートである。

 この区間はさつき野以外の各駅に停車し、やがて定刻18:38分、静かに新潟駅1番線に入線した。

新潟色電車ばかりの新潟駅でも、「アルファ」は異色の存在感をもっていた。

 

新潟駅へ定刻到着

 

 今回改めて、165系列に乗車してみました。 まず率直な感想として、「まだまだ快適な乗り心地と、スピードを提

供してくれる車両である。」という事が言えるだろう。 しかしこの車両は改装車であり、JR東海所属の原型車など

は、かなり老朽化が進んでいる様でもある。 また長野・松本地区ではE127系投入により、169系に大量廃車が

出た模様である。 更にはJR東海管内の中央西線、JR西日本管内の紀勢本線についても置き換え計画が出て

いるという。 しかしまだ暫くの間は、老体に鞭打ちつつも、活躍を続ける事になるだろう。

私は今後とも、各地で活躍を続ける165系列にエールを送りつつ、動向を見守っていきたいと思う。

 

− 終 −


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