その十

ある時、ある部屋に

鳥篭と小鳥がいた

当然、小鳥は鳥篭の中に居たのだが

自由な空に憧れていた

あんなに広い青い空を飛びまわって

聞いた事も見た事もないものを知りたいと思っていた

不思議と鳥篭には命があり

しかも小鳥に恋をしていた

そんな望みを持つ小鳥を外に出そうと

鳥篭は精一杯身を揺らし体を振るわせた

そうすると鳥篭の扉が少しきしみながらも開いた

小鳥は初めは不思議そうに

次第にそわそわと羽を羽ばたかせた

そして次の瞬間には大空へと旅立って行った


部屋には鳥篭のみが残された

鳥篭は扉を開いたまま小鳥の帰りを待った

決して戻らない事を知りながら

いつまでもいつまでも小鳥を待ちつづけた


そう鳥篭は僕なんだ