そのろく


あるゆめ

あるよぼくはいちわのわたりどりになった

まわりにはいっぱいのなかまたち

そのよるはなつにしてはすずしかった

なかまたちはいった「たびたちのときだ」って

ぼくもいっしょにはばたこうとしたけれどなぜかとべない

なぜかぼくのくびにはくさりがついていた

なかまたちはつぎつぎととびたってゆく「さぁゆこう」って

かのじょはもがくぼくをしんぱいそうにみつめていた

でもぼくはじぶんがとびたてないのをさとっていた

なかまがほとんどとびったったあともかのじょはそばにいた

ぼくはかのじょにいった「ぼくはへいきさぁきみもとびたちなよ」って

かのじょはぱっととびたった

じばらくぼくのうえをせんかいしつづけていた

ぼくはにっこりわらっておおきくてをふった

そしてかのじょはなかまたちのもとへととびたっていった

ぼくはひとりそのばにのこった

のこらざるをえなかった

すべてはゆめすべてはげんじつ

めがさめるとぼくはなみだをながしていた

ゆめではながしていなかったのに

げんじつのぼくはないていたんだ

ほんとうのぼくはないていたんだ