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Name: 落下する鳥
Title: 奇跡は冬の雪どけか

太陽がその役目を終わる頃
街がライトを空にかざす
人が、ほんの少し安らげる場所
夜が、ほんの少し悲しみを帯びる時間

私はラジオを持って三日月の上
スピーカーに耳を押し当てる

それにしても、
ノイズだらけでよく聞こえないなぁ。。
毎度のことだけど。
でも、
今日はなんだか楽しそうだな
誰かの誕生日?にしては華がないよな。。
セレモニーほど堅苦しくもないし。

お祭り?んー、パレードなしっ。ありえないっ!

・・・??

もしかして、景気向上で!?

つくしの声が、聞こえますか?

あぁ・・
こういう思考が駄目駄目なのかも・・・

 結局、人ってのは鈍感な生き物で
 ひとつのことに集中に集中を重ねると
 周りが見えなくなっちゃう訳で
 それで、月が自分の上に乗ってる邪魔な・・・
 もといx「素敵な誰かさんの背中を押すことにも気付かないわけで・・・

まったく・・・
現実だったら犯罪デスヨっ
私が覗きたいからって(ゴホンッ)無駄な気遣い・・・

いえ、大丈夫。
私、信じてるわ。
君はそんなことできる子じゃないって。

所詮、しがないピーピングトムにはこんな人生がお似合いっ・・・
うえっ。下噛んだっ
チクショーッ。後で覚えとけーっ!

それにしても
月から落っこちる気分は
悪くないな


Name: 沙門
Title: カクテル

たとえば僕は昨晩飲んだカクテルの色が忘れられなくなって

地中海まで旅をした行き先で

ふと知り合った美しい女に恋をして

カクテルなんてそっちのけで追いかけた遠い地で

昔の男に奪われ

途方も無い気持ちで入水自殺しようとした夕暮れの海に

あのカクテルの色を見つけ

ああ、あの色は恋だったのかと

涙するようなたとえ話のような男


Name: 愛癒 敬大 (あいゆ たか)
Title: ほむら

私は焔。

暗闇の中。
人々の真っ直ぐな想いから生まれました。
心の蝋燭に温かい火を灯す事が役目です。
皆は私の事を神様と呼ぶみたいです。

皆に見守られている空気が在る限り。
強い風が吹いても。
私は燃え続けます。
闇を消化して。時には黒い煤も放ちますが。
私は貴方の蝋燭が溶けても折れても。

最期まで見守っています。

しかし。
皆が我先にと争う様に私に群がると。
私は消滅してしまうかもしれません。

もし。
貴方の蝋燭に火が灯っているのなら。
信じられる誰かに少し分けて。
お互いに幸せになって下さい。

それは貴方の勇気次第です。


Name: 茅崎 紬
Title: まんなか気分

まんなかでお昼寝すると
大きな布団に入ってるみたい
何にでも手が届いて
何にでも気付いてるみたいな
自分の観客になって
眠気ばかりがやってくる
まんなか気分は
かなりアブナイ
だから
近付いたら
楽しくて
ひざを丸めたくなる

のかな


Name: 落下する鳥
Title: 浸透

砕け散った星の欠片
気丈の正義に足をとられ
もがき
もがき続けて
宙に手をかざす

どれだけ汚れてしまっても
悲しみに打ちひしがれても
ただ前を、前を目指して
心を急かした

大切なものが何かなど
気にならないよ
目の前のすべてが
なぎ払うべき、と
心が刺すんだ
僕が手に取った武器は
鋭くとがった声と
絶対零度の世界に落ちたひとつの感情

 セピアにこめられたぬくもりが
 ゆっくりと温度を失う
 もう止まらないのだろうか
 いや、留める気などさらさらないっ
 それが誓い
 僕の胸に突き刺した発光の剣

 だから、君が持つやさしさはもう二度と見ない

深い白の木々をすり抜け
暗闇打ち払い
僕は独り
叫び続ける

世界は白銀
かすれた声にもう
鈴は響かない


Name: 奈都子
Title: 真夜中

だれか
起きていますか?
などと
つぶやくとき
起きているよ
男のこわいろで
ひとりあそび
恥ずかしいね


Name: 愛癒 敬大
Title: 元気

おかねがかからないしあわせ。

できること。

ほめること。


Name: 愛癒 敬大
Title: トレイン

ちっちゃな子供、疲れた顔してたから。

隣に座ってる女の子、自分。
おたがい、ちょこっと離れて。
居られる場所、作ったけど。

両親、子供の手ひっぱって。
むりやり、連れてった。

ぽかんとあいた、隙間。
ばつが悪くて、流れゆく景色と時間。

近くにいるのに限りなく遠く感じる、なぜだろう。


Name: 愛癒 敬大
Title: 東西の文化

自分の身を守るために。生み出される影。

騙しからは、過剰なまでに自分隠し。
脅しからは、過剰なまでに自己主張。


Name: 愛癒 敬大
Title: E−トリック

わたしの想いの箱、ここに置きますが。

わたしの姿、なんて見えないから。

最初からなかったんだぁって、笑ってやってください。


Name: 愛癒 敬大 (あいゆ たか)
Title: Pure water

ガラス越しの雨
結びついて大きくなり
流れる滴は勢いを増して
向かってくる力と哀しみの跡

一段と綺麗になったね


Name: 愛癒 敬大
Title: クローク

かなしいぶんだけ、やさしくなれるひと。
せなかにしょってる、おおきなリュック。
いつもみまもってますから、おでかけになるときは。

そっとカギをおあずけください。


Name: 愛癒 敬大
Title: 1度きりのグレア

癖になって。慣れちゃって。
染みついちゃうストレス。うまく感情だせなくなっちゃった。
したくないのに、だれか責めちゃう。どうしよう…痛いよ。

ぼくはトナカイさんに憧れてるんだ。
みんなから。まっかなお鼻で笑われてる。

意地っ張りばかりのアイランド。
冷たい風にも凍りつく寒さにもめげないで。
いつもいっしょうけんめいにあったかい。

『ありがとう』って言える芯の強さと
『だいすきだよ』の気持ちで。きらきらみんなのために。

トナカイさんがただいるだけで。
気持ち、恋人。

心の奥にしまってる、たいせつなこと。
信じられるようになったから、勇気を出して。
地球にあるいっぱいの鏡にむかって、話せるようになったんだ。

みんな、だいすきで。みんな、たのしくいられるように。
朝まで燃え尽きない、1本の灯火。

いつも、ありがとう。ぼくのにんじん、あげるね。


Name: 愛癒 敬大
Title: おせっかい

あんさん商売人でっか?
目ぇ算盤珠(そろばんだま)になってまっせ。

小金いっぱいようさん持ってんなら
けちけちせんと、ちゃんと踏み切れる距離にしなはれ。
ガキとおばはん、じじぃ、ばばぁ、あぶないでんがな。

人は人らしいことせんとあきまへんなぁ。
わしんとこ?ぼちぼちや。
閉まってシマッタっちゅう踏切も
みんなで渡りゃぁ怖くないで。
交通マナーやっぱあかん。
わし言うてんちゃうちゃう。ほなこれで。


Name: 愛癒 敬大
Title: ねじまきぜんまい、ばねびよょぉーん

おたがい、シャフトまわるけど。
歯車噛みぁにゃーから、だんだんすりすりヒートアップ。

火に入る油は、とばっちり。
冷えて擦り減り、まるくなる。

今度はぴったり。がっちり。


Name: 愛癒 敬大 (あいゆ たか)
Title: Pure water

ガラス越しの雨

結びついて大きくなり
流れる滴は勢いを増して
向かってくる力と哀しみの跡

一段と綺麗になったね


Name: Hisoka
Title: 木漏れ日色の記憶

 
銀杏がからからと散り始めて
扇となりくるくる舞い上がる
誰にも気づかれない僕の隙間を
黄色で埋めつくしてゆく

何度も何度もそれを繰り返し
乾いた記憶でさえ積もってゆくから
木漏れ日色をひとつ拾い上げる

ねえ君は冬を恐れていたけれど


Name: 茅崎 紬
Title: その向こう

目に見えない塵を
ひとつづつ消そうと
掬い取り
かじかんだ手が
暖かいことを

気がつかなかった

やがて
氷は限りなく
透いて
その向こうに見える
のだと

焔たかく
目に見える塵を
焼き尽くすことが
ほんの始まりの
花火でしか

ないことを


Name: 奈都子
Title: せつない 

 

 詩的な言葉をあいしてはいても
 せつない
 この言葉だけは使わずにいた
 風が
 とどめを刺す季節に
 さむくなる言葉など
 使うものか
 
けれど
 せつない
 わたしは何処へも行き様が無い
 速達がもうじき届くから
 こうして待っている
 水道屋がこないから
 あのひとたちは
 いつくるかわからないから
 こうして待っている

 窓際からしだいに温まり
 花など咲いていない温室のようになり
 わたしは
 眠れない赤ん坊をおもいだす
 あやされて
 わすれられて
 光の方角に指先を重ね
 ひとりあそびが上手になった
 ひとりあそびはせつなかった
 
 ときおり
 道のほうから人の声さえ響く
 わたしは
 みのむしをおもいだす
 今日も青い秋空のした
 どこかの林で
 いちにちじゅう丸まって
 太陽を待っているのかな


Name: なるな
Title: 眠れない夜

眠れない夜は
なんか不安
いつもテープに録る
深夜のラジオを
今すぐ聴かなきゃ
いけない気がするから

眠れない夜は
なんか不思議
みんなが寝ている時に
ひとりで思いをはせる
この特別な時間を
もらった気がするから

眠れない夜は
なんか楽しい
昨日の出来事を
思い返せる
そんな嬉しい瞬間を
すごせる気がするから


Name: トマト
Title: いつから・・・、ではなく今日から・・・。

いつかは・・・
そんなことばかりで
全然動けなくて
いつかは
そう・・・
いつかは
出来るよね
そんなことばかりで
動かなくて
今は無理だから
ただ弱いだけ
いつかは
そんなこと言って
いつも逃げてた
いつかは
違うね・・・
今日から
私はがんばるよ
出来ること
今日から
がんばっていくよ
だから・・・
今日から


Name: きらら
Title: たった1日


 さあ夢から飛び出して
 
 聖夜に響く 聖夜の音
 みんなで一緒に鐘を鳴らせば
 みんなで一緒に歌を歌えば
 ほら 怖いものなんてない
 
 童話を信じて外見たり
 くつしたの用意も忘れずに
 子供たちも夜更かし
 「早く寝なさい」
 お母さんの一言で顔がほころんで
 鐘の音待ってる間に眠るんだ

 ケンカなんてせずに
 せめて今日だけは敵も味方も一緒に
 歌って笑おう
 それが僕らの夢なんだ


Name: だいすけ
Title: 信念

偽善というつぼみは

信念という水をあげてこそ

いつか愛へと変わるのかもしれない

鼓動
流れ行くままに

優しさ
とまることなかれ

勇気
無謀を見極めて


いつの日かはばたきますように


Name: 茅崎 紬
Title: 願 い

花いのち
恋ひとつ
哀しづく

すこしの
つぶしか
ない僕に

夢かけら
握る守鈴
ふりて空

糸かほり
消えずに
連れ行き

ドアの前


Name: 奈都子
Title: 「一杯七百円の珈琲屋で」

高いけど旨い
というお菓子を母と二等分した
丸太のようなカウンター

りょうどなりは
カップルたちが肩を寄せる
この店では
お客さんの雰囲気をみて
カップをえらんでくれるのよ
母がひときわ甲高い声で
わたしたちにはどんなカップがくるかしら
待っている

こいびとたちのカップは
ロマンチックなのね
母が声を高めるので
羞恥心がめばえてしまい
わたしはあわてて珈琲をすする
わたしたちのカップは
白地に細い一本の横線
こいびとたちのカップは
薔薇の花柄
こんなものね
子供をおいてきたわたしと
父をおいてきた母の二人旅

かくべつに語ることもなく
かくべつにいきどおることもなく
たわいない話しができるようになった

ふと
通り過ぎて来たものを
ゆげのなかに垣間見る
もうすこしここにいるといいですよ
雨がひどくなっています
若いマスターが気を使い
みぎどなりのカップルが再び坐る

うらやましい人たちが
たくさんお茶を飲んでいる
わたしと母は
何となく威勢が良くて
違和感が饒舌にさせる


Name: 翔
Title: テレビの中の人生

テレビのなかでは、貧しい国が戦争をしていた
政治家はそろって正義を出張していた
人々は仕事を奪はれ 訴えて 訴えた
「私たちにだって幸せになるあるはずだ」毎日人は死ぬけど
それでも子供は産まれてくる 人々は「戦争が悪い」「政治家」が悪いと言っている ボランティア団体は今日もテレビで訴える
「あなたの愛の500円が5人の子供を救います」
ある人々は 今日も垂れ幕持って主張する
「戦争反対 戦争反対」正義なのか 主義なのか ボランティあなのか はたまた運命なのか 
ただこれだけは言える 世界を生きることはまだ知らぬ赤ん坊の命行き先が飢えて死ぬことであっていいはずがない
僕の人生は決まっていないけど 飢えて死ぬことが決まっている赤ん坊のためならばどんなことでもしてあげたい
僕が望むものは世界平和なんかじゃない
僕が見て知ったあのテレビの中の赤ん坊に幸せになって欲しい
テレビの前で悲しみながらそう願いつつも 何もできない自分が憎らしい  
テレビの中の人生に 僕の人生は届かない


Name: 奈都子
Title: 落ち葉の色

もうさいごだと
つい見入ってしまう

レモン色の銀杏は
宝石のしずく
浴びる幸福と
見送る不幸
こがらしの町は
思い悩む暇さえ与えず
昏々とねむりはじめる山を背に
すべてのものを沈ませるよう

もうさいごだと
つい見入ってしまう

窓の曇る牛丼屋
蒸気が恋しいてのひらを
すりあわせて
河川敷の橋をわたる
鼻をくすぐるかおりに
足早になりながら

真珠のようにひかる
くもりぞらを眺めた
こばしりの雨が落ちて来た

落ち葉の色は
明るいものに惹かれる
それも
誰かが集まって
お喋りをしているみたいに
少しだけ暖かい色に

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