私が、"Die Fantastischen Vier"を好きになったいきさつというのは、なんとも不思議なめぐり合わせだった。

　洋楽にはまったくと言っていいほど興味のなかった私が、ドイツへ行って洋楽にはまってしまった。友達の車の中でラジオを聴いたり、また別の友達のお兄さん夫婦の家に行ったとき、お義姉さん（友達のお兄さんの奥さん）がよくMTVやVIVAを見ていたので、なんとなく、興味を持った。

　友達と友達のお兄さん夫婦とＣＤ屋へ行った。ふと、一枚のＣＤが目に入った。どうしても、気になった。「WELTWEIT」。「HAUSMARKE」という人のアルバム。買おうかと手に取ったけど、結局、その時は買わなかった。

　ドイツのCD屋では、どのCDもすべて試聴してから買うことができる。「これを聴きたい」と言えば、たとえフィルム包装がしてあってもそれを開けて試聴させてくれる。そのCDをよく知らないで買うのではなく、ちゃんと聴いて買うことができる。日本でも、本屋では中身を見て選んで買うことができるのだから、CDもそれができて当然なのかもしれない。でも、たくさんの人が試聴を望んでいるので、混んでいると試聴するまでに待たなければならない。
それと、ドイツのCDは、旬を過ぎたものや発売から年月の経っているものは、値段が安くなっている。（ドイツでは本も同じように安くなる。）

　ドイツＧＰへ行ったとき、泊まったホテルでMTVやVIVAを見まくった。そこで、気に入ったものがあった。「Thomas D の solo」と「Such a surge の Jetzt ist gut」だ。

　ミュンヘンで間借りした。その部屋の貸し主はテレビを持っていなかった。せっかく気に入り始めた洋楽を聴きたかったので、ディスカウントスーパーへ行って、ラジカセが49,80DMで売っていたので、迷わずに買った。暇さえあれば、常にラジオを聴いていた。

　ずっと聞いていると、その時のヒット曲らしいものはよく流れる。ヒットチャート番組もよくある。持って行っていたカセットテープの一つを、録音用にしてしまった。よく流れる曲や、気に入ったものを録音した。
ただ、DJはドイツ語だから、誰の何という曲かは注意して聴いていないとほとんど分からない。録音した曲も、ヒットチャートじゃないと、途中から録音してたり、DJが名前を言わなかったりしてるので、分からない。
私が聴いたThomas Dの曲は、ラジオで聴くことはなかったけど、Thomas DがFranka Potenteという女性と歌ってる曲は、時々耳にした。ヒットチャートでも上の方にいた。

　Thomas DかSuch a surgeのCDを買おうと思い、CD屋へ行った。Thomas Dのアルバムはあったけど、Such a surgeは見つからなかった。Such a surgeのJetzt ist gutはラジオでも時々かかっていたのに。ここでまた、「HAUSMARKEのWELTWEIT」が目に入り、どうしても気になって、Thomas Dのアルバムではなく、HAUSMARKEのアルバムを買った。
でも、このアルバムは、日本に帰るまで聴けなかった。私の買ったラジカセは、CDが聴けないタイプのラジカセだったから・・・。

　日本に帰る４日前からウィーンへ行った。ホテルにはテレビがあったから、朝と夜はMTVとVIVAを見まくった。そこで、Such a surge の Jetzt ist gutと、Thomas D&Franka PotenteのWISH -komm zu mirをよく見た。この曲は、その頃公開された「Lola rennt」という映画の主題歌らしかった。ウィーンでもCD屋へ行ったけど、この二つのCDは見つからなかった。Thomas Dのアルバムも見つからなかった。

　ミュンヘンに戻ってからはCD屋へ行く元気はなく、結局、次の日日本へ帰ってきた。

　ドイツで録音してきたカセットテープに、気に入ったのがあったけど、途中から録音してるから曲名も誰の曲かも分からなかった。

　そうそう、ドイツで買ってきた「HAUSMARKEのWELTWEIT」は、正解だった。ヒップホップで、私の気に入ったジャンルだった。

　ドイツ人のメール友達に、「ドイツで、"HAUSMARKE"の"WELTWEIT"というCDを買ってきた。で、"Thomas D&Franka Potente"の"WISH -komm zu mir"と"Thomas D"の"solo"っていうアルバムが欲しい。」と伝えたら、帰ってきた返事が、「Thomas DとHausmarkeは"Die Fantastischen Vier"という４人グループの２人だよ」だった。

　なんと！　私は、知らず知らずのうちに、同じグループの二人を気に入っていたのだった。Die Fantastischen Vierのページをインターネットで探してみた。今まで出した曲の歌詞があった。私がテープに録音して気に入っていたドイツ語の曲は、おそらく「jetzt ist sie weg」か「sie ist weg」という曲名だと思っていた。そうじゃなくても、このフレーズが歌詞の中にあれば、と思って、探してみたら、なんと・・・あった！　そのもの「Sie ist weg」。念のため、その曲をかけて、インターネット上で見つけた歌詞と比べてみる。まさしく、この「Sie ist weg」だった。

　友達に、"Die Fantastischen Vier"のアルバムも、なんでもいいから欲しい、と伝えた。「Sie ist weg」が入っていれば、なんでもいいから、と。友達が、"Thomas D"の"solo"と"Thomas D&Franka Potente"の"WISH -komm zu mir"と"Such a surge"の"Was besonderes"と"Die Fantastischen Vier"の"Live und Direkt"の４枚を送ってくれた。
なんと、"Such a surge"の"Was besonderes"の中に、１曲だけ、Thomas Dとユニットを組んだ曲があった。

　ドイツで気に入ったものが、すべて"Die Fantastischen Vier"に関するものだったのが不思議だ。