【事の始まり】
7年ぶりに模型制作をしようと思った時、ふと山積みの箱の中で目に留まったのがこのヤクトティーガー。
はじめはストレートに組んでさっさと感を取り戻すために塗装をしちゃいましょうと作っていると、ふと昔の悪い癖といいますか悪い虫が騒ぎだし、手元にたまたまあった(ウソ)「アハトゥンク・パンツァー第6集ティーガー戦車編」を眺めながら、ああでもないこうでもないが始まり、気がつけばアフターパーツを次々と購入し、さらに最後期型が別キットで存在していることを知り、スクラッチしようと思った後部牽引フック、回転式ペリスコープカバーの手間から逃げるために(ぇ?)購入し、挙句にエッチングパーツ加工用にいろいろと工具を買ったり、洋書を集め、結果として軽い気持ちでの作業がとんでもない大出費へと変わってしまいました。ヤクトティーガー恐るべし・・・。

【プロローグ】
 まあそんなわけで、せっかくの投資を無駄にするのはもったいない!どうせなら自分流に考察した考えを残してみようとサイトを立ち上げてしまった訳で、今回ヤクトティーガー制作にあたり数々の写真集、現存する車両や文献、さらには多くのモデラーの方々の作例を見ながら、自分なりに思ったヤクトティーガー制作の注意点などを紹介するコーナーを作ってしまったしだいです。
なお、ここにあげてある事柄はあくまで自分なりの意見であって、これが絶対正しいんだという事ではなく、また新たな事実が出てくるかもしれません。
とりあえず、気がついたら更新、訂正があるかもしれないこのコーナー。
ヤクトティーガーを作る同士の役に立てればと思います。
第一回の今回はヤクトティーガー後期型について気づいたことをつらつらと書いてみます。
ヤクトティーガーのトラベリングクランプは現在3種類が確認されており、写真のタイプのような上下のパーツを支える支柱が太くなったタイプは後期型はもちろん、その前あたりから使われているのが確認できます。
ちなみにパーツD8の細い支柱は写真のようにパーツD15に固定する為の物なので、砲をロックする場合は上を残し、車体に固定する場合は上下を切り取り、パーツI19に接着するのが正解です。

トラベリングクランプの解除レバーは写真の物はクビンカに展示されている現在の車両を参考にされたものと思われますが、実際はキットのエッチングのような砲の下に回り込むような形状が正解です。
今回はここまで作ってしまってから気がついたためこのままで作業を進める羽目になりました。
皆さんはキット付属のエッチングを利用してくださいね。
後期型の最も特徴的な戦闘室上面、及び戦闘室上部四方に設置されたピルツのレイアウトは大体この位置。
Schiffer社のJAGDTIGER The Most Powerful Armoured Fighting Vehicle of World War U Operational Historyの131ページにピルツの使用風景のイラストが掲載されているけれど、実際使っている写真は残念ながら手元にはありません。
ちなみにキットのピルツは少々穴が大きく感じたので一度パテで埋めて穴を開け直しました。
戦闘室側面に増設された予備履帯取り付け具
後期型の特徴と思われがちだが、ピルツが無い車両でもこのレイアウトは見ることができる。
ちなみにNr.305001のポルシェタイプでもこのレイアウトであり、おそらく前線から戻った既存の車両でも予備ラックを増設したのではないかと思われる。
第512重戦車駆逐大隊のNr.305058もピルツが付いていないがラックは3列です。
で、予備ラックの付け方がやはり気になるところ。
制作過程のところでも書きましたが、やはり取り付け向きが同じのようで、先の305058以外で、321326の車両の写真(1955年撮影の物)や、車体にX1のマーキングが見られる後期型車両でも同様に最前列とレイアウトが同じ位置であることが確認でき、
こうなると、ドラゴンの説明書の指定に甚だ疑問を感じるしだいでして、とりあえず作り直すことにしました。
気になる方は是非「Schiffer社のJAGDTIGER The Most Powerful Armoured Fighting Vehicle of World War U Operational History」に掲載している第512重戦車駆逐大隊の写真を見てください。
クリーニングロッドの取り付け方だが、キットでは車体に対してほぼ水平に設置されている。
しかし写真を見るからにサイドスカートと並行に設置されているように見受けられる。
これはクビンカの車両でもそのように見える。
後部右側ベンチレーターカバーについている履帯交換用ケーブル装着金具が設置されている。
これはクビンカの車両で確認されているもの以外に1945年4月9日、ドイツ・オッフェンゼンの森にて撃破された有名な写真の別方向からの撮影や、セント・アドレアスベルグで撃破された車両にてカバー周囲にワイヤーがかけられている事が確認できたので、この仕様は後期の特徴といってもよいと思います。
後期型では燃料タンク通気パイプが3か所増設されます。
はじめこの戦闘室すぐ後ろのパイプは車体のどこから出ているのかわからず、とにかく手持ちの資料をひっくり返して調べました。
何しろクビンカのヤクトティーガーの資料があまりにも少なく、アハトゥンク・パンツァーにも収載されていない部分だっただけに手こずりました。
結局Schiffer社のJAGDTIGER The Most Powerful Armoured Fighting Vehicle of World War U Operational Historyの298ページにあった1枚が唯一の参考でした。

後期型フロントフェンダーといえば、2本のリブが付いている物と思われがちだが、この仕様はどうもクビンカにある車両以外にあまり数が無いのではないかと思われる。
後期型の参考資料として他の車両でリブのついたフェンダーを装備したものが無い為、いささか後期型の標準装備と言えるか疑問です。
1945年4月9日オッフェンゼンと1945年4月16日セント・アドレアスベルグで撃破された車両のフェンダーはどちらもリブ無しの車両で、手元の資料でリブ有りはクビンカの物しか見当たらなかった。
思うにこのころティーガーU(B)の後期型でリブ有りのフェンダーが確認出来ることから、ヤクトティーガーに一部流用されたのではないかと思うが、標準装備なのかは少々疑問あり。
後期型の特徴といわれる操縦士&機銃手用ハッチの取っ手
これも後期型の特徴のように思われがちだが、後期以前の車両Nr.305001、Nr.305032、Nr.305058などでも取っ手が2個付いているのが確認されます。
トラベリング・クランプの固定用基部も、同様に後期型以前の車両で同様のクランプを使用している車両では同じように固定基部が装備されている物が見られるので、後期型だけの特徴とは言えません。
後部に取り付けられた牽引用基部
これは後期型の特徴との事ですが、手元の後期型車両で付いている物が見当たらない・・・。
1945年4月16日セント・アドレアスベルグで撃破された車両の後部側を映した写真ではこのパーツは見当たらない為、これは必ず付いていたかいささか怪しいような・・。
そう考えるとクビンカの車両はとてもレアな物ではないだろうか?
マフラーカバーは初期の頃の車両にはついていましたが、早いうちから廃止されたようで、中期、後期では取り付け基部も見当たりませんし、ジャッキやジャッキ台も後期型は廃止されているので、一見後ろがつるつるで物さみしいです。
後期型ドライブスプロケットの歯は9個以外確認できる写真が無かったもので、現段階ではこれ以外は無い物と思っております。
ただ、キャタピラは通常の物が前線に間に合わず、輸送用キャタピラを履いたまま輸送先から戦場へ向かった記録があり、セント・アドレアスベルグの車両でも輸送用キャタピラが車両の近くに転がっている写真からも、情景によっては660mm幅履帯もありのようです。
後で気がついたので修正として、2個ある牽引ワイヤー取り付け金具のうち、下の物は写真のように斜めに取り付けていましたので、直しておきました。


参考にした資料
エンジン、トランスミッション、サスペンション、128mm砲など写真、図面、イラストを交えてこの一冊があればヤクトティーガーがメンテナンス出来るんじゃない?というほど詳しい内容。
サスペンションもヘンシェル、ポルシェ両タイプの詳しい構造が掲載されている。
ヤクトティーガーの構造を知る者にはとても資料性価値は高いが、模型を作るものとしては、写真は荒いものが多く、外装の細かい資料としてはあまり使えない。
今回内部を作るのにはとても重宝した事は言うまでもない一冊。
第512重戦車駆逐大隊と第653重戦車駆逐大隊の車両の動向も含め、豊富な写真、配属された車両のロットNoまでが記載された一冊。
ただ、写真は荒いものが多く、ほとんどは遺棄、破壊、捕獲されたものばかりで、あまり生きている写真が無いのは少々さみしいかぎり。
ボービントン、アバディーンに現在展示されている車両の捕獲された当時の写真は他の本よりは豊富。
海外版モデルフィーベルとでもいえる一冊。
駆逐戦車を特集したもので、作例と現存車両の内部写真などや当時の鮮明な写真も豊富で、資料としても価値ある一冊。
しかし、ヤクトティーガーは相変わらず資料は少ないし、挙句にパーツの付け方間違ってるのはいただけない。
第653重戦車駆逐大隊を語るに必須なバイブル的な存在。
鮮明な写真が豊富だが、この部隊のヤクトティーガーは初期、中期がほとんどで後期型はあまり配属されていないのか、写真があまりないのがさみしい。
ただ、生きた車両の写真は貴重で、情景を作るのにもとても役に立つ一冊。
まだ資料が少ない頃はモーターブーフは貴重な存在で、これこそ当時のバイブル的な物でしたが、今ではほかに鮮明な写真の記載された本が多いため、その役割は減ってしまった。しかしヤクトティーガーの鮮明な内部写真としての資料価値はこの本が一番あると思う。
写真は既出したものがほとんどで、モーターブーフと比べると、カラーでの各車両のカラーリングは模型を塗る時の参考になると思いますが、抜きんでた資料性という点ではそれ以外はあまり特色は無い。
ドイツ戦車が好きな人からすればスクラップになった車両ばかりの写真は少々見るにつらいかもしれないが、貴重な写真がいっぱい。
もちろんヤクトティーガーも後期型の写真が含まれており、鮮明で貴重なディテールを拝むことができる一冊。
ボービントンにあるティーガーTのレストアの模様がいっぱいで、内部構造を知るには写真も鮮明で中身スキーな人にはお勧めな一冊。
その他解説はコアな人には温い内容ではあるが、普段見る事が出来ない部分をレストアという事で当時の不鮮明な写真でしか見られないような部分がカラーで鮮明に見れるのは貴重だと思う。
ティーガー系車両を作るのにはとりあえず持っとけ!という一冊。
現存する車両の写真も豊富で、前期、中期、後期などをイラストを交えて分かりやすい解説満載で、ビギナーモデラーさんでもあるときっと役に立つ丁寧な作りの本です。
でもやっぱりヤクトティーガーの写真、資料とも少なめかと・・・
一応、ボービントン、アバディーン、クビンカの車両も掲載。