<バトル・ロワイヤル   高見広春  太田出版>

 

 

総合評価 ★★★★

完成 ★★★

創造 ★★★★★

残留 ★★★★★

衝撃 ★★★★★

価値 ★★★

鋭敏 ★★★

 

 

孤島である中学生の1クラスが殺しあい、最後に残った1人だけが生きて帰ることが出来るという

とんでもない殺人ゲームへと巻き込まれるという過激小説(?)。

何かの賞を内容の過激さから選考に漏れたとか。

逆に「問題作」と言う大きな追い風を受け一気に世に出回った作品。

 

設定は東洋の全体主義国家<大東亜共和国>と言うことになっているが日本を想像させるに

たやすい背景になっていて、話の中にのめり込みやすい感じ・・・日本が第二次世界大戦で勝利

していたならばあんな国家が誕生したといても不思議じゃないなぁ〜と思っていました。

 

バトルロワイヤル・・・複数人対戦で勝利者が1人なので自分以外の全ての人間が敵となる。

が、もちろん仲間どうし協力しあうこともできる、でも結局最後は戦わなくてはならない。

 

極限のゲームの中で殺し合ったり、逆に信じ合ったりといった人間模様が描かれているのだけど、

ややドラマ的というか映画的な感じを受けました・・・実際映画化されたんですけど。

映画の方は見ていないですが、小説を読んで映画を見た人の反応は映画は面白くなかったとの事。

そりゃあの厚い本の内容を2時間やそこらで再現するのは無理でしょうから。

 

で内容的には評判通りに面白かった。面白いと言う表現が適切なのかどうかはちょっと微妙ですが

読み始めたら止まらない・・・常に先が気になるし、スリル感があって一気に読んでしまえる

作品じゃないでしょうか(本の嫌いな人でなければ)。

いや、実際かなり厚い本なのですが2〜3日で読破してしまいました。

個人的にはシドニー・シェルダンを読んでいる時と同じような感覚です。

特に何も考えずにテンポよく面白く読める本だなぁ〜と言う感じ。

確かに残酷なシーンも多く描写されてるけど、それほど不快にはならなかったですけどね。

 

なんだかんだ言っても戦闘シーンに一番ドキドキしてしまうんですよね。

人間ってねっからの戦闘種族なんでしょう。

 

ちょっと視点を変えてもし自分がこのゲームに参加したなら・・・どうなるか?

仲間を作るのか、1人でひたすら隠れるか、殺しまくるのか?

たぶん、速攻で殺されちゃんでしょうけど・・・支給された武器もたぶんフォークとか(笑)。

 

でも、こんな殺し合いのストーリーの中からいったい何が学び取れたでしょうか?

信じ合う心?、助け合い精神でしょうか?考えさせる一面はあったものの、何か物足りない

と言う感じもして、作者の訴えたい事を100%出し切れていないの感じもします。

ストーリーとして面白くするために、ちょっと現実味が欠けてしまったのが原因でしょうか?

もちろん現実味を持たせればただのドロドロした気持ち悪い物になって面白くもなんとも無くなって

しまうのでしょうが(苦笑)。 

 

酷い体制に必死で立ち向かっても恐らく何も変えられないそんな現実と、

変えたいと思う気持ちが大事なんだと言っているのか・・・・・。

個人的には何か訴えたいものとか関係無しに何も考えずに面白い作品じゃないかと。

 


戻る