<封印再度 -WHO INSIDE- 森 博嗣 講談社>

  

 

総合評価 ★★★★

完成 ★★★★

創造 ★★★★

残留 ★★★★

衝撃 ★★★★

価値 ★★★★

鋭敏 ★★★

 

犀川&萌絵シリーズ5作目・・・賛否両論のこの作品(笑)。

ミステリとしてどうとか、トリックがどうとかそんなのはそっちのけで盛り上がりあるんです。

犀川&萌絵がここでは急接近(恋愛関係)してますが、この事件で萌絵が嫌いになった方が大勢いらっしゃる

のではないだろうか(女性が多数)?現実的な話をすれば許されることでは無いだろうが、

読み物としては面白かったです(笑)いや、笑えないって言う人も多いのかな?

 

国枝先生も最初の頃とは別人になってますよね、最後にメールの内容について萌絵と会話シーンが

あるのですが、やっぱり笑ってしまいました。

ここでのテーマは「禅」ですね。京極夏彦氏の「鉄鼠の檻」でも禅は扱われているのですが

そこで扱われている禅とはちょっとニュアンスが違うなぁ〜と思ったんですが、

森先生も「鉄鼠の檻」は読まれているようなのでどう感じたのでしょう?

逆に読んだことで多少の変更があったのでしょうか?

 

トリックに関して言えば、実験で再現が可能であることは実証されているらしい。

今の世の中で新しいトリックや、凝ったトリックにこだわったりして現実不可能なトリック

が多い中で、やはり森先生はエンジニアなんだなぁ〜と実感させられます。

どんなものでも予測するというのは難しい事です、もちろんサンプルが多ければ多いほど、

環境が理想に近ければ近いほど、予測は現実味を増します。

森先生の中にはどれだけのサンプルと環境が用意されているのか?

小説家としてではなく、エンジニアとしての森先生のすごさが解りかけきました。

 

どうやら、この小説を書き始めた頃は、この5作目で萌絵&犀川シリーズを終わらせる

つもりであったようです、その為にメインが犀川&萌絵に置かれたのかと妙に納得しました。

もし、最後だとしたらあの事件もそれほど腹が立たないのかな?いや逆か(苦笑)。

 

ちょっとラブストーリー混ざりなミステリってのもいいですね。

 

日本題と英題の関係に吃驚というか笑いました、意味、音どれをとってもしっくりくるなんて、

こういう遊びって凄い好きです。


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