<五体不満足 乙武洋匡 講談社>
生まれついての身体障害者(先天性四肢切断)が書いたエッセイ。 「障害は不便だけど不幸ではない」この言葉が印象的だ。 自分の障害に関しても「超個性的」と表現している、このポジティブな発想は見習いたい。 主に子供達に読んでほしいという著者の希望で漢字には読みがながついているし、 字も大きく、文章も楽しく読めるように書かれている。 悲壮感や重い雰囲気など微塵もない、この手の話を扱っている本ではある意味革命的かもしれない。
身体障害者ではない自分に障害者の気持ちはずっとわからないだろう<自分が障害者にならない限りは。 それでも、この本を読めば少しでも近づけるかもしれないと思ったが、どうも違うようだ。 彼は一般的に認識されている身体障害者とは全く違う生き物なのかもしれない。
気持ちの持ちよう、考え方、性格によってこうも違う物なのかと思い知らされるかもしれない。 もちろん本人の力だけではない、凄いと思ったのはむしろ両親の方かもしれない。 この著者の両親は偉大だと思った、人間はやはり環境次第で白くも黒くもなる。
気になったのはやはり細部だ、健常者が気になる部分として、普段の生活はどうなのか?と言う 部分が少し抜け落ちているのだ・・・(わざとかもしれないが)。
ふと思った事ははたして自分に子供でき、そしてこの著者ように障害を持って生まれてきたら、 著者の両親のように「驚き」や「悲しみ」ではなく「喜び」ととらえる事ができるだろうか? そのときになってみないとわからないが、はっきり言って自信がないな。
学生から社会人なった乙武君の活躍を密かに願っている。
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