<巷説百物語  京極夏彦 角川書店>



総合評価 ★★★

完成 ★★★★

創造 ★★★★

残留 ★★★

衝撃 ★★★

価値 ★★★

鋭敏 ★★★

 

江戸時代を舞台とした時代小説(?)。

各地で怪事件がおき、妖怪の噂が立つところに御行の又市、山猫廻しのおぎん、事触れの治平、そして考物の百介が

あらわれ、用意周到な仕掛けにより、謎を解決していくといった勧善懲悪的な物語。

妖怪の姿を語り、妖怪を演出し、仕掛けた人を自滅の道へ誘うと言った感じだ。

自らが手を下すような感じではない、その意味では著者の「京極堂シリーズ」類似している。

言葉の力のようなものを前面にだす感じだ。

 

仕掛けはどれも細かく凝っていて、短いショートミステリのようになっている。

話の流れもテンポがよくて、サクサク進む感じだ。

問題があるとすれば、どれも同じようなテンポで進むので、あきが来るかもしれない。

 

7編の短編から構成されているが 工夫はあるものの展開やパターンが同じなのも痛いところだ。

あまり結末が予想通りだとそれもまたつまらない。

ミステリ好きなら、裏切りも大事な一つの要素になるからだ。

 

また、妖怪小説という位置づけにもしずらい作品。

必ず最後には合理的解決がなされてしまうのも逆にウィークポイントのような気もする。

たまには非現実的な要素が出てくる作品でもいいような気がする。

 


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