<ビタミンF  重松 清  新潮社>

 

  

第124回直木賞受賞

総合評価 ★★★★

完成 ★★★★

創造 ★★

残留 ★★★

衝撃 ★★★

価値 ★★★★

鋭敏 ★★★

 

切なくて明るい家族小説の最高傑作!と帯に書いてありましたが、

明るいというのにちょっと引っかかりがありますが、良い小説です。

 

読んでて本当に切なくなってしまった。

あくまで読み手の年代によって感じ方は違うかも知れないけど。

7つの短編からなる家族小説なのだが、どれも中年の父親の視点から書かれている。

父親と息子、父親と娘、夫と妻・・・いろいろなパターンの家族が描かれている。

 

予想よりも次が読みたい、次が読みたいという衝動に駆られる本でした。

別にホラーやミステリものではないのに。

どれもちょっとした出来事なのだけど、その一部を切り取り小さくまとめたストーリー。

また、短いストーリーのなかで起こる諸問題は全て解決しきったとはいえない。

どのストーリーも最後の結果のようなにもは決してみせていない、またそこが良いのか。

 

読む薬という本がありますが、あの本は人の悪い部分の改善方法などが簡単に記している本だ。

この本は読むビタミン。薬は悪い部分を直す効果があるものだけど、ビタミンにはそれはない。

むしろ、人の健康等を補助する役割のものだ。

この本もそんなのだろう、直す力はないかもしれない、でも効果はある・・・ビタミンほどの。

 

心にきくビタミン剤か、この本を読んでちょっとした変化はあったかもしれない。

 

 

 


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