<理由  宮部みゆき 朝日新聞社>

 

 

直木賞受賞作

総合評価 ★★★★

完成 ★★★★★

創造 ★★

残留 ★★★★★

衝撃 ★★★★

価値 ★★★★★

鋭敏 ★★

 

じつは宮部氏の作品は火車につづいて2冊目。

どうにも彼女の作品に苦手意識を持ってしまい避けてきたのですが、久々に読みました。

 

面白かった、と言うよりも凄かったと言った方がいいかな。

全体的に見て火車にとってもよく似た感じの本だったような気がするんですが、

ディティールが火車とは比べものにならないほどパワーアップしている。

 

よくぞここまで書いたな!と感動してしまった。

一家四人殺しの謎を解くストーリーなのだが、推理小説のように誰が殺したか?ではなく、

何故殺人がおこったのか?と言うところに焦点を置いたために、ある種の違和感を感じた。

火車のように少しずつ全貌が見てくるのだが、一方方向からだけではなく、いろんな角度、時間から

物語を切り取り事件の真相に迫る。

 

物語の中盤ぐらいで殺人犯がわかってしまったりしているのにもかかわらず、

最後まで読まずにはいわれない書き方は本当に圧巻。

誰が殺したか?よりもなぜ事件が起きたか?の方がいつのまにか気になるように書かれているからだ。

 

う〜ん、本当に人間を描ききった衝撃作。

良く法律のことや捜査のやりかたなど勉強していて吃驚だ。

読む方も実際にこれは法律関係の勉強になる、ちょっとした好奇心や興味がわきましたね。

 

本のボリュームも凄くて読むのに予想よりもずっと時間が掛かってしまった。

ハラハラドキドキと言う感じではないものの、ついつい先が気になってしうまう不思議な作品。

 

ラストの方が少し尻つぼみなったような気がするのは私だけだろうか?

終盤までこれでもかというぐらい細かく描写してきたわけだが、最後のあたりは

ちょっとスッキリしすぎていたのではないかな?ちょっと残念な部分でもある。

まぁ、ある程度謎な部分が残っている方がいいと言うひともいるだろうか?

 

これはお薦め作品。

 


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