<鉄鼠の檻   京極 夏彦  講談社>



総合評価 ★★★★★

完成 ★★★★★

創造 ★★★★★

残留 ★★★★★

衝撃 ★★★★

価値 ★★★★★

鋭敏 ★★★★



京極堂シリーズ4作目。

本の厚さの限界に挑戦するつもりだろうか?

が、ここまできた京極ファン又はマニアにとってはもはや厚ければ厚いほど嬉しいという

兆候があったようなのでまぁ本の厚さは良しとしよう。

電車の中等で読んでもかまわないがお薦めはしない。

また読んでいる途中で指が攣る等の現象が発生する可能性があるので要注意だ。

 

禅がキーワードになりかなりの量の禅に関するくだりあり、京極堂の蘊蓄になれた京極マニア

であっても嫌気がさすかも知れない。それぐらい大容量の禅知識が披露される。

タイトルは「鉄鼠の檻」となっているが、鉄鼠自体は物語全体を支配してはいない。

むしろ禅、鼠、檻などが全体のテーマだ。

 

個人的に京極堂シリーズでは一番好きな作品かも知れない。

大部分の人間は僧侶の多さと禅の説明に嫌気がさし、

この妖怪シリーズの中では一番本格ミステリに近い小説ではないかと思われる。

もちろん禅を中心に全体を包み込む手法などはありふれた本格ミステリなどとは次元が違うわけだが。

 

メンバーはいつものレギュラーメンバーに加え、懐かしい顔ぶれに新メンバーと

登場人数が多いですね、まぁ本の厚さに比例すると言ったところでしょうか?

「姑獲鳥の夏」に登場した人物が出ることによって、過去の事件についても触れる部分があり

京極マニアにはたまらない。

ただ、登場人物同士のつながり(物語への登場のさせかた)がやや強引かも。

 

これだけの長い小説であるのにも関わらず、クオリティーはまったく落ちていない。

まさに秀作。

 


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