<死者は黄泉が得る   西澤保彦  講談社>



総合評価 ★★★★

完成 ★★★

創造 ★★★★★

残留 ★★★

衝撃 ★★★★

価値 ★★★

鋭敏 ★★★★



最初、普通の本格ミステリだと思い、初めて西澤氏の本を手に取ったわけだが

もの凄く驚いたと言うか、あれ、なに?と言った感じで買う本を間違ったのかとさえ思ってしまった。

とにかく設定が独創的で他の作家を全く寄せ付けない新ジャンルミステリ。

 

死者が甦る館に生ける屍たち仲間を増やす「死後パート」と、隣町の連続殺人事件「生前パート」が

交互に語られ、後半はこの2つのパートが混ざり合い驚愕のラストへと向かう。

とにかくここでは摩訶不思議な装置が登場する。

それは死者を蘇生し、生前の記憶を全て消去するという装置だ。

非現実的な装置を持ち出し、非現実的なフィールドを作り出すことによってより新鮮な

部分を演出し、あきあきしたくだらないトリックが登場する推理小説を簡単に破壊する。

 

新しい環境にうまく頭を適応させ、推理を働かせられるかがポイントだ。

仕掛けもよくよく注意して読んでいけば到達できる内容だ。

 

ミステリ界に一石を投じる新推理小説。

 


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