<とらわれびと -ASYLUM-  浦賀 和宏  講談社>

 

  

総合評価 ★★★★

完成 ★★★★

創造 ★★★★

残留 ★★★

衝撃 ★★★★

価値 ★★★

鋭敏 ★★★★

 

またしても読み始めて「時の鳥籠」で出てきた名前があったので続きものなのかと

疑ってしまいましたがどうやら違ったようです。

なんで、こだわるんでしょうね(同じ世界に)?

 

どうも登場人物が中途半端に多くて(数自体は決して多くはないのだが)且つ個性もないのでやや混乱気味です。

まぁ、混乱する理由は物語の構成が正しい時系列で記されていないのが主な原因ですが。

途中で、話が前後しているのに気がつくが、上手く纏められないと言うか、纏める気が起きないと言うか、

とにかく作者の作った流れに任せてしまおうかーといった感じになってしまう。

自分で物語を再構築しようとするのが辛い作品なのだ。

そんな意味では謎を解きたいとか犯人を見つけた等の欲求を著しく阻害する作品かもしれない。

 

腹を裂かれて殺される連続殺人と「妊娠」した男が失踪する2つの事件から構成され物語は進む。

物語の全体構造も途中で明らかになり、どのように進むのかとおもえば、最後はわりとバタバタと

進み、いっきに事件は解決してしまう、解決のした経緯(推理)がよくわからないし、ちょっと強引に

おさめた部分もあったが物語としてはわりと上手く纏まっていたと思う、と言うか流石にちょっと驚いた。

「そう来るか!」と言う感じで。

 

全体の構成や事件の構造が面白かっただけに時系列をいじって物語を構成する方式はちょっと

勿体なかったような気がする、時系列をいじらなくても成り立つ構造の方が良かったのでは?と思っしまう。

少し残念だなぁーと(おそらく逆の意見もあるとは思うが)。


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