<七夕雑文 -招かざる客->

 

 

200X年 8月7日   あー、もう夕飯の支度をしなくちゃいけないなぁーなどと思いながら

再放送のテレビドラマから目が離せない、テーブルの上は空になったポテチの袋が既に3袋。

いま、まさに4袋目を開けようかと思った時、不意にチャイムが鳴った。

 

「ピンポーン」「ピンポーン」

 

どうせ、新聞の集金か保険の勧誘か押し売りか、泥棒か強盗か連続放火魔だろう。 無視無視。

 

「ピポンピンポピーンポン」「ピンポピーンポーン」   あーリズム付いちゃってるよ、もう。

 

うるさいので出てやることにした、どーせ保険の勧誘か何か・・・・?!

なっ、なっ、何?、子供?!ドアを開けると、子供が6人ほどなだれ込んできた。

 

「ローソクダーセ!、ローソクダーセ!」

 

え?え?え?、何?ローソク?って蝋燭のこと?

何、いったい何?こいつらいったい何?、あ、新手の新興宗教か?いや、乞食?強盗?

まて、まて、相手はたかだか子供じゃないか?いくら6人いるとはいえ、落ち着け。

 

「ローソクダーセ!、ローソクダーセ!」

 

あぁー、どうすればいいんだ?警察か?、まてまて相手はガキだ。

でも、こいつ等の目はあきらかに「おまえはもう完全に包囲されている、おとなしく出てきなさい」と

いわんばかりの殺気だった目だよ、どうする?勝負かここは? しようがない遊技王カードバトルでデュエルだ!

 

「ローソクダーセ!、ローソクダーセ!」

 

まともに勝負できるわけねーよ、こんなやつら、あぶねーよ、

普通のガキじゃねーよこいつら。 絶対にどっかの国で鍛えられた特殊部隊だよ、日本語も話せないに違いない。

ここはおとなしくローソクを渡した方がいいだろうが、善良な一般家庭にローソクなんて物騒な

ものなんて置いているはずがにではないか、ここと出来るだけ穏便に、  

 

「あのー、ローソクは家にないんだけど・・・」

「ローソクなんてどーでもいいよ、さっさとお菓子出せよ!」

「そうだよ、さっさとお菓子出せよ、鈍いなおばさん、はやく」

 

日本語が通じるじゃないか!、しかもお菓子だと!、やっぱり考えすぎだ。

こいつら、そこいらにいる近所のガキだ!

 

「そうだよ、さっさとお菓子出せよ、鈍いなおばちゃん」

 

おばちゃん!? ブチッッ!!

おもむろに下駄箱から取り出した、「M60E3LMG」。

自動給弾、ワントリガーで1200発もぶち込める、電動エアーガン、通販特価78000円だ!  

銃口が子供達に向けられたときには、既に子供達は悲鳴を上げて逃げ出していた。

玄関から裸足で飛び出し、逃げる子供達に1000発ほどぶち込んだところで球が切れた。

 

「ちっ、まったく近頃のガキは」    

 

後で知ったのだが、北海道の七夕には、「ローソクだーせーだーせ・・・」と子供達が近所の家々まわり

その子供達にお菓子をあげるという風習があるそうです。

 

ついでに北海道の七夕がなぜか8月7日である事も知りました。

なんなのこの意味不明な風習は?・・・とニュースを見て思いながら、

夕飯の代わりに本日6袋目になるポテチの袋を勢い良く開けた・・・・・・。

 

 

 

2002年8月7日 不定記収録

 


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