-チャイム戦争-

 

 

静かなマンションの一室で昼寝を楽しんでいた夕方。

不意にチャイムが鳴った、「ピンポーン、ピンポーン」。

眠い目を擦りながら、玄関を開けるが誰も居ない、空耳か?

 

寝起きで機嫌の悪い私は、ちょっと頭に来たので、

隣の部屋のチャイムを鳴らして家に入ってやった。 「ざまぁーみろ」。

欠伸をしながら時間を確認すると、もうPM5時だ。

まだ眠いので、夕寝することにする。

 

しばらくして、またチャイムが鳴った、「ピンポーン、ピンポーン」。

今度のは絶対に空耳ではない、絶対に鳴った。

後少しで眠りに落ちる寸前だったのに、一番幸せな状態を邪魔されて頭から湯気が立っている。

 

こめかみに青筋が浮いていたかもしれない、ピューッと血が噴き出していたかも知れない。

ハッキリ言って近所でも寝起きの悪さではちょっとは名の通っている方だ。

いきなり必殺のコークスクリューパンチをお見舞いするつもりで、ドアを開けた。

 

誰もいない。

 

やばい、今なら頭で揚げ物が揚げられそうだ。

当然の報復行為として先ほどとは逆隣の部屋のチャイムを鳴らしてやった。

 

欠伸を三連発した後、布団を頭まで被って寝る体勢。

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

機械のように正確な間隔でのピンポン攻撃!

布団を高々と舞上げで、飛び起きると、玄関にダッシュ。

いきなり大技のかかと落としををお見舞いするつもりで、ドアを蹴り開けた!!

 

誰もいない。

 

「ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン」

まだ、チャイムの音は鳴りやんでいない・・・・。

 

「あっ、昨日、携帯の着信&メールの着メロを受けねらいで住宅チャイムの音にしたんだった!」

 

着信履歴にはワン切りであろう知らない着信ナンバーと友人の電話番号、

そして、蹴り壊したドアだけが虚しく残った。

 

 


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