会報みちNO.54から

年少自閉児の親達へ

小さい頃のがんばりが大切

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顧問・教育研修部長 青山 春美

 

 

  自閉症協会千葉県支部顧問,教育研修部部長を引き受け,総会や顧問会議等に出席するようになり,自閉症の人達の力になりたいと,さらに思うようになりました。

 現在,心理相談員・講師等の仕事を通して,自閉症と思われる子ども,親,先生達,と出会います。

 中には1才半の子もあり,小さな子と親のこれからに胸のつまる思いと養育や指導対応の重要な自閉症の早期出会いの喜びが,交叉します。自閉症の子どもを持った悲しみや苦しみを早く乗り越えて,子どもの現実を理解し,できることから歩み始めて欲しいものです。

 経過の中でこじらせたり,思春期パニックの激しい子等の場合は適切な積み重ねや助言の必要性を痛感します。大変な状況の中でもがんばって欲しいと心から願い,応援したいと思います。

 私は30年近く前,3才女児のプレイセラピーをし,親の会の設立に向けて少しばかりのお手伝いをしました。その時代の自閉症を取り巻く環境,理解の情けない状況が自閉症にこだわる原点になっています。その後,特殊学級担任,千葉県特殊教育センター研究指導主事として,身体を張って自閉症児とつきあい,「指導はとても難しい,けれども適切な方法で積み重ねていけば必ず成果があらわれる」ことを実感しています。

 自閉症の子のことを理解して働きかけるのは難しいです。自閉症の障害についてよく知らなければ対応に困難です。個々の状況を把握して上手に働きかけなければならない,マニュアル通りにはいかないのです。病院や相談機関でも適切な助言が少ないという現実もあります。良き助言者に巡り合い,継続的にアドバイスを受けることが大切です。そういった意味からも,自閉症協会に入会し,情報を得たり,先輩の経験を聞いたり,親同士が励まし合い,助け合うことがとても大切だと思っています。

 今,年少自閉症の相談では,自閉症を絶望視している人,文字や数等への興味を過大評価して楽観的な人,他人に何とかしてもらおうとする人,子どもが不安定になるのを恐れて好きにさせている人,様々です。自閉症という障害はあっても,持っている力を精一杯に発揮させてやりたいと願い,小さな成長を喜び育てたいです。

 年少自閉症を育てるポイントを述べてみようと思います。

 子どもをかわいがり,自閉症の子に「この人は大丈夫」と安心させることです。その子の発達に応じたスモールステップで,一緒にやって見せながら教えるのです。言葉や状況の理解が悪いから,乗ってこない,嫌がってなく,パニックといった不安を示すのですが,馴れてくれば大丈夫な場合が多いのですから,負けないでください。

 小さなことでも具体的に,その場で言葉を添えながら,身振り,表情も駆使して伝えるのです。社会性が特に大切です。社会の約束やルールを体験を通して教えていくのです。買物,外出,手伝い,バス,電車に乗る等の経験の中で良い悪いを丁寧に教えます。

 放っておいたら駄目です。自閉症児は興味の世界が狭い上,自ら見聞き,気付くといった学ぶ力が弱いのです。親は「叱らず許さず」ヒステリックにならないで,できそうなことはやらせ,発達を促すことです。がんばらせたり,経験させるには「めだつ」「あやまる」ことが多く,親はつらく,苦しい自分との闘いです。愛していなければできないことです。そういう諸諸と闘いながら,親と子でやり方を掴み,勝ち取っていく力だと思います。私はそのがんばり千倍の努力と呼んでいる位です。

 指示がわかる,教えを受ける,言葉がわかり使える,やっていることを楽しむ,人が好きになる。がんばることやほめられることを喜ぶ子になる・・・・,そこに到るまでの根気強い働きかけが必要です。

 よき仲間,理解者と巡り合い,自閉症の子育てを楽しんで欲しいと思います。その中で,親も人として成長し,自閉症の子と共に生きる喜びをかみしめ,百倍の,十倍の努力で済む日が必ず来ます。

 私も小さな力ではありますが,自閉症を理解する人達を広げ,できることを精一杯がんばります。

98/09/01 up