会報みちNo.54から

(有)土穂「TUBU企画」に就職して

 

 22才になる息子が再就職した有限会社「土穂」は我が家から自転車で10分の所にあります。500坪程の敷地にプレハブ鉄骨造の三階建に一階は民間小規模福祉工場,(有)土穂(社長 渡辺義久氏)二階に小規模福祉作業所 TUBU企画(所長 遠藤和幸氏)がある。(有)土穂もTUBU企画も知的発達,精神障害者に生活の安定と働く場の確保を目的として八幡学園の指導員だった渡辺氏が設立した土穂会が母体となり開設されました。障害者の雇用を目的にH3年に(有)土穂が作られ細々と経営されていましたが,H8年4月より大型オーブン等の設備を整え,本格的に菓子製造を開始しました。この時に息子が入社しました。現在身体障害者1名,知的障害者4名,指導員1名,社員1名(TUBU企画所長兼任)ボランティア数名でみやげ菓子問屋の下請けとしてクッキー,手作りサブレ,ビスケットの製造,結び昆布や海藻サラダ等の海藻類の加工販売をしている。

 TUBU企画はH8年4月にスタートし,H9年4月に市川市より地域作業所補助金交付施設として認可され,現在17名が通所している。17名の年令は50代2名,30代4名,20代5名,18・19才2名,18才未満1名,男女比は12:5で障害の種類,程度はいろいろです。17名中自閉症,自閉傾向は社員の息子を含め8名です。松戸市の西沢君,千葉市の志村君(現在欠席中)もメンバーです。仕事はダイレクトメールの封入,玩具メーカーの下請け,土穂のクッキーの検品や袋入れです。指導員1名,所長,ボランティア数名が一緒に作業しています。

 土穂の仕事の内容は材料の計量,ミキシング,型抜き,検品,焼き,鉄板拭き,製品の計量,袋入れ等があり,労働力不足の為,常に作業所より4,5名が手伝っている。息子はミキシング担当で,小麦粉,バター,レシチン等の原料を気温湿度の変化,手抜きか機械抜きかにより異なる原料をブレンドし,ミキシングの時間を調整して生地を練り上げていく。時計を睨みながら,ミキサーの回転数を変化させている真剣な姿は親が見ても惚れぼれします。わさびサブレの時等,防毒マスク,ゴーグルで重装備し,涙を流しながら頑張っています。急な注文が入って,予定変更等がある時,パニック状態になり,あらぬ言葉を連発するという問題はまだ残りますが,自分だけがミキシングが出来るというプライドを持って責任を感じ,会社優先の生活をしています。注文がlトンもある時には戦場の様な忙しさで,二階の作業所でも計量,袋詰めをします。又,作業所が忙しい時,工場の仕事がない時には,社員も作業所の仕事を手伝います。

 以上の仕事の他にTUBU企画としてボランティアの協力を得てバザーに参加しています。クッキー,海藻類を土穂より仕入れ,売っています。売り上げ金は,仕入れ代金(売り値の?%)を土穂に支払い残金が収入になります。

 土穂は福祉工場としての補助金は貰っていません。菓子問屋の下請けなので単価が安く利益があまりなく経営が困難なのが実情です。ボランティアや父母を通じて細々と直販しているのが現状で,直販店や問屋を通さない販路の拡大が今後の大きな課題ではないでしょうか。又,土穂,TUBU企画共に労働力が絶対的に不足しており,ボランティアの協力が不可欠です。しかし,育成会の様な組織的なバックを持たない為,ボランティアが集まりにくい。会社・作業所共通の父母会はありますが,協力を要請しても親が高齢であったり,考え方の相違等で協力も少なくこの事も問題として残ります。

 社員,所員22名が大きな家族の様に相互を助け合って仕事をしている姿を見ると,人間には,仲間が必要で,集う場所が必要なのだと感じます。しかし,ちょっぴりぬるま湯かなとも感じられ,働く事の厳しさがあってもいいのではとも思います。喜んで通って来て,一生懸命働いている社員・所員の為にも渡辺社長に経営の困難を乗り越え,会社を発展していただきたいと,エールを送ります。

(市川市分会) 坂本秀美

98/09/01 up