みち60号から

第8回自閉症に関する実態意識調査報告 2

−アンケートの結果から福祉的課題を見る−

 

事業部 松井宏昭


○社会・医療資源に地域間の格差が大きい

  指導を受けた(受けている)医療機関や療育機関,診断を受けた機関は,東京に近く交通の至便な都市部の分会では保護者の回答が非常に多岐にわたる一方で,房総郡部の分会のそれは,地元の機関に限定されています。


○小児科医は自閉症の認定にかかわっていない

 診断を受けた機関は病院が最も多くて回答者の6割を占めていますが,そのほとんどを精神科医,児童精神科医が占めています。小児科医は自閉症の認定にかかわっていません。


○親が子どもの異常に気がついてから診断まで1〜2年以上もかかっている

 保護者が子どもの異常に気がついた年齢から診断を受けた年齢までに1年以上のタイムラグが生じています。中には数年もたってからという回答も見られます。タイムラグの短縮は,解決すべき重要な課題です。

 千葉市における市療育センターのような早期診断・早期療育機関の整備が望まれます。


○15歳を越えると,2人に1人は何らかの薬を常用している

 服薬している子どもは,14歳までは10%前後とわずかですが,15歳を越えると2人に1人は何らかの薬を常用するようになります。


○成人した子どもにとって食事が一番

 成人した自閉症者にとって,成人病の予防など毎日の健康管理は大切な課題です。健康の問題では,保護者の大半は「食事」に最も気を配っています。


○千葉県では保護者の就労教育へのニーズが低い

 保護者の自閉症の専門教育に対するニーズは非常に高いことが知られましたが(みち第58号),「就労教育」に対するニーズは極めて限定的です。これは,千葉県における現在の就労教育や,現実の就労のあり方自体に原因があるのではないかと考えています。


○将来の選択は入所施設しかないのか?

 高校卒業後の進路として,学齢期の保護者で「入所施設」を希望するものはほとんどいません。しかし,将来となると,現在就職したり,作業所に通う子どもの保護者も,「入所施設」を考えている者が多数を占めるようになります。


○休日は特に目的もなくゴロゴロしている自閉症者が多い

 成人した自閉症者の休日の活動として,屋内外へ活動の場を広げている者がいる一方で,「趣味がないため何もすることがなく」,「テレビを見たり」,「 特に目的もなく家でゴロゴロする」という者が多くみられます。

 余暇活動を含め成人自閉症者の生活のあり方について,保護者や本人が選択できる新たな福祉サービスの創設が望まれます。


○保護者が選んだ,利用度の低い福祉制度ワースト3 

(1)重度心身障害者医療費補助制度(2)交通費割引制度(3)小額貯蓄の非課税制度

 


福祉に対する要望   (複数回答:回答は5つまで)

福祉への要望(回答率:%)

合計

就学前

小学校

中学校

高校

卒業〜20

2125

2630

31歳以上

1

成人自閉症者に対する相談窓口設置

38%

43%

35%

41%

25%

45%

36%

41%

47%

2

グループホーム,福祉ホーム,生活ホームの増設,充実

33

39

35

45

40

26

25

36

32

3

自閉症児者のための福祉法制定

33

61

37

18

25

29

27

33

26

4

通所施設の増設

29

39

41

59

55

16

16

8

21

5

入所施設の増設

27

11

29

32

30

42

27

21

16

6

障害者基礎年金の充実

22

21

10

9

20

45

29

23

26

7

入所施設の増設内容の充実

22

4

16

18

25

29

26

38

16

8

障害者の高齢化対策の調査,研究

21

4

9

5

15

26

37

26

47

9

通所施設の内容の充実

20

32

16

23

40

10

19

23

11

10

ショートスティの充実

20

4

29

23

30

19

14

23

5

11

レスパイトサービスの実施充実

20

0

24

27

25

23

23

15

5

12

福祉工場の増設,充実

19

21

18

14

30

10

18

18

32

13

福祉事業従事者養成及び待遇改善

17

18

10

9

20

26

19

23

21

14

障害に関する理解促進活動

17

39

20

23

15

19

8

15

0

15

成年後見制度の充実

17

11

10

23

10

16

16

28

32

16

小規模作業所への助成強化

16

18

16

23

25

19

12

13

16

17

障害児学童保育の実施

16

29

44

18

0

0

4

0

0

18

余暇活動の援助,助成

14

7

14

23

10

26

4

23

16

19

障害者用公共住宅の確保

12

11

8

14

0

3

22

13

21

20

税の減免制度や割引制度の拡充

12

11

5

5

15

13

15

28

0

21

無年金者の解消

8

4

5

5

10

16

10

13

5

22

ボランティア活動の奨励,強化

6

14

5

9

5

0

5

8

5

23

在宅対策の拡充強化

6

4

0

0

10

3

14

5

11

24

ガイドヘルパーの実施

5

0

8

5

5

0

5

8

11

25

人権擁護機関の設置,強化

5

4

0

9

5

6

7

8

0

26

特別児童扶養手当等の充実

4

18

8

5

0

3

0

0

0

27

ディサービスの充実

2

0

3

0

0

3

3

3

0

 

合計 (%)

100

100

100

100

100

100

100

100

100

 

回答者数 (人)

311

28

79

22

20

31

73

39

19

 


医療に対する要望 (複数回答:回答は5つまで)

医療への要望(回答率:%)

合計

就学前

小学校

中学校

高校

卒業〜20

2125

2630

31歳以上

1

医療と療育機関,学校,福祉との連携

65%

79%

65%

79%

64%

52%

40%

42%

37%

2

専門家を専属配置した療育センターの設置

59

72

68

50

41

34

38

44

47

3

一般の疾病に対して受入れ病院の充実

51

28

36

33

59

59

44

49

58

4

自閉症原因の解明

48

69

38

29

27

34

42

56

21

5

自閉症児者のための歯科診療の充実

39

41

31

33

9

55

31

28

47

6

成人自閉症の健康管理の指導

34

7

18

38

18

31

33

44

63

7

児童精神科の設置及び専門医の育成

33

38

44

21

36

21

15

26

21

8

思春期の行動障害への対応の充実

32

41

34

29

32

34

22

14

5

9

病院・医療情報の充実と公開

31

34

16

38

32

24

24

33

32

10

自閉症の診断,判定基準の制定

22

14

16

17

18

21

19

30

16

11

児童相談所における自閉症早期診断の充実

21

21

25

21

23

10

14

16

11

12

小児科医の適切な対応

20

21

24

25

18

14

13

7

21

13

服薬の適切な指導

18

3

6

4

23

7

31

23

16

14

強度行動障害への対応の充実

18

10

14

17

9

28

19

12

5

15

その他

2

7

0

0

0

3

3

0

0

 

合計 (%)

100

100

100

100

100

100

100

100

100

 

回答者数 (人)

318

29

80

24

22

29

72

43

19

 


雇用に対する要望 (複数回答:回答は5つまで)

雇用への要望(回答率:%)

合計

就学前

小学校

中学校

高校

卒業〜20

2125

2630

31歳以上

1

自閉症者への就労支援システムの構築

56%

68%

62%

59%

63%

46%

46%

46%

73%

2

職場における自閉症理解の充実

53

71

65

41

42

74

30

57

33

3

公共機関での障害者雇用の促進

46

46

43

36

47

33

48

54

60

4

援助付き雇用制度の導入

44

39

45

59

32

42

48

51

20

5

職域開発援助事業への支援,助成

40

32

35

50

47

29

41

43

53

6

教育,福祉,労働に係わる関係者の連携の強化

33

39

45

45

21

33

21

34

7

7

障害者雇用率のアップ

26

29

26

14

26

38

25

29

20

8

ハローワークにおける自閉症理解の充実

23

21

18

18

26

38

21

23

47

9

学校における就労のための教育の充実

22

54

35

18

16

13

9

14

0

10

第三セクター事業所の拡充強化

22

14

15

23

11

13

32

40

20

11

職場適応訓練制度の拡充強化

20

14

20

32

32

17

11

29

20

12

特例子会社の設置促進

11

7

5

5

5

8

20

20

20

13

雇用者助成の拡充強化

11

11

5

14

0

29

11

6

27

14

その他

1

4

0

0

0

4

2

0

0

 

合計 (%)

100

100

100

100

100

100

100

100

100

 

回答者数 (人)

273

28

74

22

19

24

56

35

15