千葉県教育庁と日本自閉症協会千葉県支部役員との面談記録

 

日時:平成14年12月17日 15:00-16:40

場所:千葉県教育庁会議室(中庁舎9階)

議題:堂本暁子知事及び清水新次教育長宛に提出した千葉県支部よりの要望書についての回答と説明

出席者:

 千葉県教育庁義務教育課特殊教育室 室長 比留間信夫 

                  指導主事 京坂和憲

 (社)日本自閉症協会千葉県支部  支部長 大屋滋

                  幹事  白水幹久

                  幹事  野澤武

 

本記録は、日本自閉症協会千葉県支部が平成14年9月6日、堂本暁子千葉県知事及び清水新次教育長に提出した要望書について、本面談で担当部署から口頭で回答された内容の要点を千葉県支部でまとめて、特殊教育室に確認を得たものである。

 

(教育の場の保証)

12.   自閉症を持つ全ての子ども一人ひとりの教育を保証してください。

 

(1)          就学に当たっては、自閉症を持つ子どもや保護者の希望を尊重するよう,市町村指導してください。

(回答)

県教育委員会では、市町村教育委員会に対して、就学に当たっては、保護者の意見を聞き、総合的に判断するよう、助言指導を行っている。

 

(2)          県立の全ての学校において、自閉症の困難性に応じた教員の加配ができるよう措すするとともに、市町村立の全ての学校において市町村が積極的に取り組むよう指してください。

(回答)

教職員の配置については、国の法律に基づいて、配置しているところであり、現状では、自閉症であることによる加配は困難である。

 

(3)          子どもの教育的ニーズに応えるため、全ての市町村において介助員制度を導入するよう指導して下さい。

(回答)

市町村における介助員制度の導入は、市町村によって実状に合わせて実施している所がある。


(4)          通級・固定選択可能な情緒障害学級及び自閉症学級を設置することを、市町村が積極的に取り組むよう指導してください。

(回答)

情緒障害通級指導教室と情緒障害特殊学級については、それぞれの市町村の申請を踏まえて対応している。

なお、文部科学省が作成した就学指導資料において、情緒障害教育の対象は、自閉症及びそれに類するものと、主として心理的な要因で社会的適応が困難であるタイプに分けられる。

 

(5)          養護学校に自閉症学級を設置して下さい。

(回答)

養護学校では、障害や発達段階に応じたグループ別の指導等に各学校の実情に応じて、取り組んでいる。

 

(6)          県立の全ての学校において、自閉症の特性に合わせて静粛性、配置、広さなどに配慮した学校施設や及び教室環境を整備するとともに、市町村立の全ての学校において市町村が積極的に取り組むよう指導して下さい。

(回答)

障害の特性に応じた学校設備、環境整備が充実するよう努めていきたい。

 

(個に応じた教育の充実)

13.   自閉症を持つ子ども一人ひとりのために,きめ細かく、かつ一貫した教育システムを構築して下さい。

 

(1)          TEACCH(ティーチ)プログラムなど世界的に評価の高い自閉症プログラムを、自閉症を持つ子どもが通う全ての学校で採用するよう指導してください。

(回答)

特殊教育センターにおいて、TEACCH等の指導方法の研修を行い、各学校等の実践の向上に努めている。教員の専門性を高めるよう、さらに努力していきたい。

      

(2)          自閉症を持つ子どもが通う全ての学校で、個別教育計画の作成を義務づけるよう指導してください。

(回答)

特殊教育においては個別指導計画を作成して、個々の実態に基づき計画的・系統的に進めるように助言指導している。


(3)          個別教育計画の作成をはじめとして、外部専門家である療育機関及び医療機関との柔軟な連携を図るよう指導してください。

(回答)

学習障害児等(LD、ADHD、高機能自閉症等)への対応として、外部の専門家チーム等との連携を基に、指導のあり方について研究に取り組んでいる。成果を県下に広げていきたい。また、各学校で自立活動に関する研修会等で、医師、理学療法士、作業療法士等を講師として招聘し、専門性を高めるよう、新に対応が出来るようにしたところである。

 

(4)          通常学級・特殊学級の教職員、管理職員並びに介助員の自閉症に関する教育相談や研修の充実を図るよう指導して下さい。

(回答)

特殊教育センターや総合教育センターで、教育相談や研修の充実に努めているところである。

 

(5)          養護学校に、地域の学校に出向いて的確な指導助言を行うスーパーバイザーを配備するとともに、その内容を充実させて下さい。特殊教育センターの自閉症担当者を増員し機能を充実させて下さい。

(回答)

養護学校が地域のセンター的な機能を充実するよう努めている。

特殊教育センターの自閉症担当者の増員の予定は現在のところない。

 

(教育行政システム)

14.   教育・医療・福祉・労働の各行政の連携を深め、自閉症を持つ人の一生涯に渡る支援を実現して下さい。

(回答)

各担当者間の連携を深めることは大切なことと考える。今後とも、学校においては、地域の医療・福祉・労働と連携を取ると共に、県教育委員会では、健康福祉部をはじめとして行政機関と連携を取りながら、支援をすすめていきたい。

 

15.   千葉県教育委員会に、特殊教育室を改組して、特別支援教育課(仮称)を設置し、地域で活き活きと自分らしい生活をするという最終ゴールを目標に、就学前から成人するまで一貫した自閉症支援教育を実施して下さい。

(回答)

特殊教育の担当課として、義務教育課内に特殊教育室を設け、特殊教育に係わる指導、人事・管理、就学指導等に関する事務を行っている。県教育委員会では、健康福祉部をはじめとして行政機関との連携を取りながら、生涯にわたる支援を目指して努めて参りたい。

 

(バリアフリー等の研究)

16.   千葉県は、特殊教育センターなどで、自閉症を持つ人のノーマライゼーション、バリアフリー、ユニバーサルデザインに基づく教育や福祉などの支援について、千葉県支部と共同して調査、研究を行なって下さい。

(回答)

今後の検討事項である。

 

(就労支援)

17.   自閉症を持つ人の就労に対する相談、フォローする体制を作り、就労を促進して下さい。

養護学校中学部及び高等部の教育は福祉的就労施設等との連携を深め、一人ひとりの個別移行計画並びに個別就労計画を作成してください。

(回答)

養護学校では、福祉的就労施設等との連携を基に、個別的な相談、フォロー等を継続的に行っている。個別就労計画等は、各学校の実状によって対応している。