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銀河鉄道の夜

耳を澄まして聞き目を見張って見る、不思議な味の映画。

「銀河鉄道の夜」は日本の他の多くのアニメーション映画と異なり、劇場長編としては非常に静かな作品です。小学生の頃にテレビ放送されているものを見たときには「暗い話」という印象しかなくただただ退屈だったのですが、大人になって賢治の原作に触れて好きになり、改めて注意して見直してみて映画の魅力にやっと気が付いたのを思い出します。映画の方から観客に歩み寄ってきてくれるような娯楽作ではないので小さな子供さんには薦めにくいですが、宮沢賢治の原作のファンの方には年齢を問わず強くオススメしたい傑作です。

 監督が当時の「まんが日本昔ばなし」(大好き!)の杉井ギサブローさんですが、丁寧な演出がほどこされたさりげない名シーンを見るにつけ納得。いつまでも心に残るメインテーマを初め全編に流れるYMОの細野春臣氏の音楽も抽象性の高い作品世界にとてもマッチしていて、CDで繰り返し聞くことのできる素晴らしいものです。

 そして、なんといっても常田富士男さんの温かい声。彼の朗読で「春と修羅」の序の冒頭部分が聞けるのが嬉しい。スタッフロールの後、最後の最後に出るたった一行のメッセージを見て物語を振返り、深く余韻にひたりました。静かな夜にじっくりと見たい‥‥という感じ。「文部省特選」なんて仰々しい言葉にしり込みする必要なし、です!



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