スパイダーマン
自分は凡人でよかったよ
クモに噛まれたピーターが、遺伝子レベルから超人に変貌し、自分でそれに気付くくだりが、ごくシンプルに描かれていてわかりやすい。「ザ・フライ」だとこの辺の描写がかなりくどくて、やがて訪れる悲劇を予感させたけれど、ヒーローものならこれくらいの説明で十分。愛する叔父さんが強盗に襲われるところもまったくもって唐突だが、やはりこれくらいで十分。なんと言ってもスパイダーマンの痛快な活躍が見たいのである。「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉は重い。スパイダーマンはその責任を全うする人格を備え、ゴブリンは責任が伴うことすら、これっぽっちも頭になかったのだ。仮面ライダークウガの最終回でみんなが「クウガがゴダイ君でよかったよね」と話すシーンがあった。事実ゴダイは、次こそ命を落とすかも知れない闘いに挑み続け、未確認ゼロ号を倒した後は二度とクウガに変身しなかった。ハリー・ポッターだって、最高の魔法使いになることを約束されながら、決して心を乱すことはない。ヒーローを描く上での、洋の東西を問わない不文律であることがよくわかる。そして、自分は凡人にしかなれんなあとつくづく思う。 |