千年女優
ラストの台詞に納得
今敏監督が、平沢進の名曲「ロタティオン(Lotus-2)」に インスピレーションを受けて作り上げたという作品。 殆どの場面が、ヒロインである女優・千代子の演じるお芝居 に割かれ、そこへ現実の存在であるインタビュアーがツッ コミを入れる、というメタフィクション構造を持っています。千代子は、序盤(の芝居)の中で、永遠に恋の情念から逃れ られない、という呪いをかけられ、それに従うかのように、 追いかけてはスルリと逃げる、想い人の「鍵の君」を追い つづけるようになります。 そして最後には・・・ネタバレになるので詳細は避けますが、 あのラストの台詞は、額面通りに受け取ると、千代子がただ のナルシストになってしまいます。 こう考えてはどうでしょうか。 この映画の題名は、「千年女優」です。千代子が受けた呪い というのは、千年間恋し続ける事ではなく、千年間演じ続け ることであった、としたら・・・ つまり、鍵の君というのは、千代子の芝居への情熱の隠喩で はないか、と思うのです。 そう考えた時に、芝居の場面ばかりで構成された、この映画 の謎が解けたような気がしました。だって、千代子の人生は、 演技そのもの。お芝居だけで構成されているのですから。 |