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おもひでぽろぽろ

原作者はどう思ったのだろうか?

不思議と小学校5年生のときのエピソードは、生き生きとして楽しく懐かしさもあり共感も得ることが出来る。作品世界へ入っていく事にそれほどの違和感は感じない。エッセイを読んでいるようないい意味での軽さも感じられる。

なのになぜか大人時代の話へ場面が展開すると途端に、胡散臭さと違和感とある種の押し付けがましさ、居心地の悪さを感じるのはなぜだろう?

子供期のエピソードが何のフィルターも通していないのに対し、大人期のエピソードの一つ一つが、半ば強引にひとつの結論へ向けて各種のフィルターをかけられ流されているからなのかもしれない。子供期の「画」が、ディフォルメされた所謂アニメ顔なのに大人期が実在の人物をモデルにしたリアリティを持たせた意図は一体何なのだろうか?

ファンタジックと妙なリアリティを同居させた時点でこの映画のギクシャクした感覚が生まれ、それが最後まで観客を縛り付けてしまう。

テーマを明確化するのと押し付けるのでは意味合いが違うように感じるのだが、いずれにせよ「じゃりン子チエ」をあれほど見事にアニメ化した高畑勲氏が明らかに変わってしまった事を証明し、宮崎駿氏との決定的な溝が出来たことも証明して見せた一作。



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