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曽田正人 最新刊・アニメＤＶＤ／ビデオ |
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| 火垂るの墓 弱肉強食の人間社会を浮き彫りにした傑作 実写映画も含めて、これまで見てきた数々の戦争を扱った映画の中でもベスト3に入る傑作です。とにかく一切の理屈抜きに胸を打ちます。人前で泣くことを良しとしない自分が、こみ上げてくる涙に抗えなかった映画は今のところこの作品だけです。すれっからしの、皮肉屋の、性格のねじ曲がった私が、子供が主人公のアニメ映画で泣くなんて想像もしませんでした。また、そうなった自分を恥ずかしいとも思いませんでした。では何故、☆四つなのかと言いますと、一切の救済の光が届かない世界を描いているこの作品が果たして万人向けかと言うと、？と思ってしまうからです。それほどまでにこの映画は、戦争という背景の下で、この世の闇を容赦なく描写しています。弱きを見殺しにするこの世の冷淡さ、それを構成している人間のエゴイズム・・・これらは現代社会においても何ら変わることはありません。この映画は戦争被害者を描くと同時に、救いがたき人間の本質をも鮮明に描き出しているのです。私がこれを手放しでお薦め出来ない理由はそこにあります。つまり、見るにはある程度の覚悟が必要ということです。絶望の果てに光を見出す方もいれば、更なる闇しか見つけられない方もおられるでしょう。見る人によって毒にも薬にもなる映画・・・「火垂るの墓」はその典型だと思います。感動したいなどという動機で手を出す種類の映画では決してありません。 |