ロイヤル・アルバート・ホールといえば、「プロムス」の愛称で知られるクラシック音楽祭で世界中に有名なホールであり、音楽祭最終日恒例の「プロムス・ラストナイト・コンサート」での楽しいお祭り騒ぎの模様は、ＮＨＫのＢＳでも、毎年、実況放送され続けている。そんなロイヤル・アルバート・ホールの舞台に、高橋真梨子が、日本のポップシンガーとして、初めて登場したのだ。

さて、ライブについてだが、高橋真梨子のライブは、ライブ当時のニューアルバムのタイトル名を冠した「冠コンサート」となっており（この公演は「ＶＥＲＳＥ」、カーネギー・ホール公演は「Ｌａｄｙ　Ｃｏａｓｔ」）、ニューアルバムからの耳慣れない新曲がかなり入るため、私のような高橋真梨子の名曲にどっぷりとつかりたいファンにとっては、やや物足りなさを感じるところがないわけではない。しかし、この公演とカーネギー・ホール公演は、普段、高橋真梨子のライブに馴染みのない海外在留邦人向けの特別ヴァージョンで構成されているため、高橋真梨子の２０年以上に及ぶ歌手生活における主だった名曲が含まれており、選曲的にも申し分ない。

ちなみに、カーネギー・ホール盤にはない特徴として、この盤ではトークが省略されており、その代わりに、前日までのスタジオにおけるリハーサル風景と、当日早朝からのロイヤル・アルバート・ホールでの準備の模様が挿入されている。

このロイヤル・アルバート・ホール盤とカーネギー・ホール盤は、２年連続で欧米の音楽の殿堂を制覇した高橋真梨子の輝ける永遠の記録として、ファン必携といっていいだろう。