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ワタリ

『仮面の忍者赤影』の前哨戦

ご存じ白土三平原作。昭和40年代前半の『少年マガジン』において人気をはくした同名マンガの映画化で実質的な映像メディア初お目見えの作品。(『少年忍者風のフジ丸』は諸処の事情により除く)
制作は東映京都。かつて手塚治虫が自身のアンチテーゼとして『残酷忍者マンガ』と称した白土作品であるが、当時の東映動画路線の影響を受けた(であろう)この作品は、白土作品の持つ世界観からかけ離れた、むしろファンタジー性の濃い子供向け娯楽作品として作られているのが特徴だ。(公開時は『サイボーグ009』と併映)舞台は戦国時代の伊賀の国、百地と藤林との勢力争いを中心に描かれ、そこに移動民族であるワタリ一族のワタリと四貫目がからむといった塩梅。原作に見られるシリアスさは最小限にとどめられているが、ワタリ対伊賀崎六人衆との忍術合戦をアニメーションをも駆使した大胆な特撮で観る者を驚かせてくれる。ワタリ役は金子吉延。原作のシャープなイメージからは程遠いが、元気あふれる演技と親近感の湧く風貌には好感が持てる。特筆すべきは四貫目役の牧冬吉。その風貌と言い存在感と言い、流石『隠密剣士』で忍者俳優として人気者となった彼の面目躍如である。また大友柳太郎、本間千代子、村井国夫、瑳川哲郎、天津敏、ルーキー新一(レッツゴー三匹のリーダーのお兄さん)といった出演陣のおかげで時代劇としてのレベルは維持されており、見ごたえは充分である。

私がこの作品を初めて観たのは20年ほど前、テレビ東京の年末の深夜映画であった。βのテープで録画したためもう見ることはできないと諦めていただけに、今回のリリースは楽しみでならない。『大忍術映画ワタリ』上映の翌年に始まった空想特撮時代劇『仮面の忍者赤影』の前哨戦として観ていただければ嬉しい。



竹山祐右   ホーム