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戦場のピアニスト 心して観ましょう、ポランスキーは真剣です 私、閉所恐怖症なもので、ポランスキーの映画は窒息死しそうで苦手でした。でも彼のユダヤ人としての生い立ちを思うとき、彼の映画の全要素の源流がそこにあり、それゆえにあのように神経症気味に描かれるのは至極当然のことだとは理解っています。古希を迎えたポランスキーが重い腰を上げ今作に挑んだこと、ホロコーストに可能な限り客観的に、自分たちを迫害した人間たちにも理解を示しながら向き合うのに半世紀以上の時間を要したその胸の内を思うと言葉にならない感情が去来します。 よくぞここまで淡々と描いた、と私は思います。と同時に彼の勇気の限界も感じました。主観的になる自分を追い払いながら撮影を進めているのが分かるからです。直接体験していないスピルバーグのような戦後世代のホロコースト映画とは雲泥の違いがあります。凄まじい体験をした人間の記憶が断片化してしまっている様を映画全体のトーンとしてあるといった印象、これは体験したものでないと描けないものです。彼の目にも日常がこう映っていたのでしょう。 私自身ポランスキーはとうに枯渇したと思っていました。描きたいモチーフがもう無くなっていると。でもこれは違います。これは彼が一番描きたかった、でも描けなくて残してあったものだからです。主人公はピアニストであることで何度も難を逃れ、命拾いします。私はDNAが違う以上人間は平等ではないと思っていますが、これを見て明らかに人類の遺伝子の中に優性保護の本能が働いていると感じられました。「特別な人間」は生き残る価値があると、こんな極限状態で命の重さにきちんと差をつける人間の姿に固まってしまいます。 例を挙げればきりが無いので触れませんがポランスキーの老練の演出はまごうことなく一級です。鈍っていたのでもなんでもない、魂を注ぎ込める主題を待っていたのです。ご存知ユダヤ人の受難の歴史は昨日今日のことではありません。クラリネット、バイオリンなどの持ち運びに便利な楽器が画面に映るときその流浪の旅路が忍ばれます。 |