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2001年宇宙の旅

難解だけど素晴らしい

この映画を何の予備知識もなしに観て「理解出来た」と感じる人はほとんどいないのではないでしょうか。観終わって五里霧中になるより、この映画の中に様々な形で散りばめられている象徴を解く鍵をある程度仕入れておくことも必要ではないかと思います。

 この映画のテーマは「超人」。それは、モノリスが出現する際に必ず流れるリヒャルト・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』からも明らか。言うまでもなく、その音楽の元になったのはニーチェの哲学書であり、その主題は超人思想。滅びゆく猿族の前に現れて道具(骨)の使用を啓発して進化のきっかけを与えるのもモノリスなら、老いて死にゆく主人公の前に現れ、ミュータントへと変化するきっかけを与えるのもモノリス。「猿から人へ、人から超人へ」という雄大なテーマを、SFというスケールの大きな形式を借りながら、映像のメタファーを駆使して表現しようとしたこの映画は、スターウォーズをはじめとする近年のSF映画の先駆というだけでなく、映像表現のもつ可能性にチャレンジした野心的な試みであり、キューブリックという時代を先取りした監督の並々ならぬ天才性を最もよく伝える作品ではないかと思います。

 とはいえ、抽象的なメタファーを駆使することで成り立つ象徴芸術に、あまりに具体的な解釈を与えてしまうと、かえって芸術としての価値をスポイルしてしまう危険があるのも事実。この作品の続編『2010年宇宙の旅』(およびその映画化)は、作中の様々な象徴にいちいち具体的な解釈や謎解きを加えてしまうことによってオリジナルを台無しにしてしまったと言っても過言ではありません。そこからも、『2001年宇宙の旅』のプロット・アイデアは、あくまでキューブリックの独創であり、アーサー・クラークはただのノベライゼーション作家にすぎなかったことは明らかだと思います。小説読むより映画を先に観ましょう。



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