← アマゾンの検索結果を「お気に入り」に登録。
いつでも最新作品をチェックできます。
渡辺多恵子 最新刊・アニメDVD/ビデオ
風光る (16)     風光る (15)     風光る (14)     風光る (13)     風光る (11)     風光る (10)     風光る京都―沖田総司と歩く新選組の舞台     風光る (1)     風光る (2)     風光る (5)     風光る (12)     風光る (3)     風光る (4)     風光る (6)     風光る (7)     風光る (8)     風光る (9)     はじめちゃんが一番! (番外編)     ファミリー! (3)     聖14グラフィティ     はじめちゃんが一番! (1)     ファミリー! (2)     僕の胸も熱くなる     ファミリー! (4)     ファミリー! (5)     ファミリー! (6)     はじめちゃんが一番! (6)     はじめちゃんが一番! (4)     はじめちゃんが一番! (2)     はじめちゃんが一番! (3)    
ポセイドン・アドベンチャー

全世代映画ファンの心の琴線に触れる名作

パニック映画の古典中の古典です。何回見てもハラハラしてしまいます。しかもどことなく哲学的で、神父らしからぬ神父、娼婦と結婚した刑事、等々、セットともども価値観が逆転・崩壊した世界で生き抜くというのは60年代のカウンターカルチャーおよびヴェトナム戦争によって失われた「アメリカ的フロンティア・スピリット」の回復であるような気もします。そこで描かれるのは、大義のために行動するのではなく、個人の意志に従い、信じ合った個人同士のつながりの中で助け合う、ということです。従ってこの映画に最も近いのは、『タワーリング・インフェルノ』や『大地震』のような同年代のパニック映画ではなく、J.フォードの『駅馬車』や『怒りの葡萄』だと思います。ニューシネマには好意的でなかったオールド映画ファンでもこの映画を絶賛していたのは当然です。映画というものの根本にある「面白さ」に満ちている作品なのですから。

 そう考えればこの映画は所々に映画ファンの心の琴線をくすぐる伏線がちりばめられていて興味が尽きません。A.ボーグナインの強さと気弱さを兼ね持ったキャラは『ワイルドバンチ』や『マーティー』などを考えあわせるといよいよ魅力的ですし、それに何と言ってもS.ウィンタース。『陽のあたる場所』以来お約束となった水の中で死んでいくというシチュエーションをここでも繰り返してあります。この後も『テンタクルズ』でやはり水に飲み込まれるのですから、その役者根性に敬服します。S.スティーヴンスも素晴らしい。『底抜け大学教授』の女学生役や、『プレイボーイ』誌で脱いだ時のように、大らかな色気を醸し出していて娼婦役でもじめじめしていないのです(ニューシネマだとどうしても娼婦役に悲壮感が残る)。これもまたオールドハリウッド(特に西部劇)のテイストです。まさに老若男女が楽しめる映画です。大ヒットしたのは当然です。



渡辺電機(株)   ホーム