#2 大隊本部と重火器中隊
大隊本部
大隊長スタッフ(command staff)
指揮所(command post)
後方指揮所
補助スタッフ
大隊通信班
歩兵科工兵小隊
補給段列
糧食段列I
糧食段列II
大行李段列
小銃中隊
小銃中隊
小銃中隊
重火器中隊
中隊本部班
第1重機関銃小隊
第1重機関銃分隊
第2重機関銃分隊
第2重機関銃小隊
第3重機関銃小隊
迫撃砲小隊
補給段列
糧食段列I
糧食段列II
大行李段列
参考文献は#1と同じであるので書誌情報は省略する。
大隊本部
大隊長スタッフ(command staff)
大隊長(中佐、少佐、のちにはしばしば大尉)(乗馬)
大隊副官補佐(乗馬)
馬当番兵2名(乗馬)
伝令兵2名(乗馬)
これらのスタッフは、大隊長が指揮所を離れて前線に出るときも、常に随行する。このようなときは、伝令兵のどちらかが、模型ファンにはおなじみのカニ眼鏡を運んで行く(Buchner)。
指揮所(command post)
大隊副官
大隊書記
地図係
大隊副官は、大隊長が前線に出ているときは代理として指揮所に留まる。連隊本部などから受けた命令を適切な部署に伝達する責任者でもある。
大隊書記は命令書などを必要な数だけ書き写し、管理する。
地図係は報告書などに使う地図を描く。(いずれもBuchner)
後方指揮所
重火器中隊長
書記2名
大隊軍医
大隊獣医
この指揮所がどう呼ばれていたのか不明だが、その機能からこう訳しておく。
大隊は3個歩兵中隊と1個重火器中隊から成る。戦闘時には重火器中隊は各歩兵中隊に分遣されてしまうので、中隊長には仕事がなくなる。そこで重火器中隊長がこの後方指揮所の指揮を執ることになっていた。
後方指揮所は人的物的な損害報告をとりまとめ、補充や補給に関する事務を司った。また(もしいれば)砲兵連隊の連絡将校や、大隊戦闘群の一部となった部隊の指揮官は、この後方指揮所にいた(Buchner)。
補助スタッフ
補助スタッフ主任(技術軍曹、自転車)
ラッパ手
伝令兵10名(自転車6台、サイドカー2台、オートバイ2台)
運転手1名(大隊長用乗用車1台)
補助スタッフは指揮所の設営など各種の雑用をこなした。指揮所、後方指揮所、補助スタッフ詰所は、互いに声の届く程度の距離に置かれた(Buchner)。おそらく、砲撃などで一度に全滅することを避けたものであろう。
大隊本部班は、上記の編制では重火器中隊長を除いて26人いることになるが、1944年型歩兵師団では17人にまで減っている(U.S.War Dept.)。
大隊通信班
班長(技術軍曹)
電話チーム 2チーム(各下士官1、兵3、電話2台)
無線機チーム 4チーム(各兵3、無線機1台)
通信器材・ケーブル運搬用2頭立て馬車(御者1)
電話チームはそれぞれ、ふたつの地点を電話で結ぶことができた。4つの無線機チームは大隊本部と3個所を結ぶようにも運用できたし、もし必要ならばA地点とB地点、C地点とD地点をそれぞれ結ぶようにもできた(Buchner)。
この部隊は工兵小隊と同様に、普通の歩兵課程に加えて特別な訓練学校を卒業した歩兵があてられた。兵科色は歩兵のものなので注意されたい。
工兵小隊
(歩兵中隊の小隊と同一と思われるが不明)
この工兵小隊は、工兵科に属する兵士ではなく、工兵としての一定の訓練を受けた歩兵である。塹壕掘りなど簡単な作業を割り当てられた(Buchner)。
1944年型歩兵師団では、この小隊は廃止されている(U.S.War Dept.)。
補給段列
糧食段列I
糧食段列II
大行李段列
これらは中隊レベルとほとんど同一なので省略する。各中隊の車両を大隊レベルでまとめて管理する糧食段列Iは、大隊先任曹長が指揮していた。また、大隊の段列には、武器修理係と蹄鉄師がいた(Buchner)。
小銃中隊
小銃中隊
小銃中隊
大戦初期の歩兵連隊には3個大隊があり、第4、第8、第12中隊が重火器中隊であった。さらに、連隊直属の歩兵砲中隊が第13中隊、対戦車中隊が第14中隊と番号を振られていた。
重火器中隊(機関銃中隊)
中隊本部班
中隊長(大尉)
観測係(下士官)1名
方位測定係(下士官)2名
伝令兵3名(馬1頭、自転車2台)
馬当番兵1名
通信班
通信兵6名、2頭立て馬車1台、御者1名
通信班は6台の電話機を使って、3組の接続を確保することができた(Buchner)。
中隊長は大隊本部で仕事があるのだから、重火器中隊本部班はおそらく観測班として前線近くに陣取り、報告を送り続けていたと思われる。
第1重機関銃小隊
小隊長(少尉)
第1重機関銃分隊
下士官1、兵10、重機関銃2
第2重機関銃分隊
第2重機関銃小隊
第3重機関銃小隊
これらの重火器は各歩兵中隊に分遣され、その関係はかなりの期間にわたって固定的であることが多かった(Buchner)。
1944年型歩兵師団では、重機関銃分隊がひとつずつ各小銃中隊に移され、残った3個分隊が1個小隊にまとめられている。大隊当たり重機関銃12丁という火力は変わっていないが、小隊長をひとり節約できたことになる(U.S.War Dept.)。まあどちらにしても、重機関銃の周りには、もっぱら機関銃を指揮するのが仕事の小隊長や分隊長がたいていいた、ということになる。これらの指揮官の指示の善し悪しが、機関銃の威力を左右したことは想像に難くない。
迫撃砲小隊
小隊長(少尉)
小隊本部班(下士官1、伝令兵3)
第1迫撃砲分隊
分隊長
測距係1名
迫撃砲チーム2組(各81ミリ迫撃砲1、兵3)
第2迫撃砲分隊
第3迫撃砲分隊
2頭立て馬車1台、御者1
1944年型歩兵師団ではこれに加えて、120ミリ迫撃砲4門を持つ小隊が加えられている。(U.S.War Dept.)
補給段列
糧食段列I
糧食段列II
大行李段列
重機関銃中隊にも他の中隊と同様に、これらの段列がある。