理想の露出計を求めて その2 〜 反射光式露出計 〜


反射光式の露出計*1は、計測器としては不完全である。
対象物が18%グレイなら、という前提条件のもとに測光する。
そのため、測定者が対象物の濃度を鑑み、測定値を増減してやらなければならない。
測定者の力量*2が問われるのである。
ただ、測定者の支援機能として、ハイライト基準測光、シャドー基準測光、アベレージ測光といった機能が付加されていることが多い。
カメラに内蔵されている露出計は、ほとんどが、反射光式の露出計である。なぜかといえば、誰も、わざわざ被写体まで駆け寄って入射光式露出計で測光してから、撮影場所まで戻って撮影するのは、めんどうくさいからだと私は思っている。
玄光社の「最新35mm一眼レフカメラ露出テクニック」に測光分布の一覧があるが、中央部重点平均測光の分布では、多くの機種で上部の感度を落としてある。これは、普通、空が明るいので、そちらに引っ張られないようにしたものであろう。
使用用途を限定すれば、少しは適正露出に近づくだろう。しかし、それは、だんだんと汎用的ではなくなることを意味する。
評価測光は、たぶん、部分的に飛び抜けて明るい場所があれば、そこを無視するようになっていると思われるが、
ニコンF90のカタログを見ていたら、数万枚におよぶテスト撮影云々という記述があった。っていうことは、経験に基づく露出値ってことなのだろうか。それって、天気予報が、過去20年間3月6日は晴れの日が90%だったから、明日の3月7日は晴れですって予報するようなものじゃないだろうか。
とにかく、評価測光は、こんなアルゴリズムで評価しています。と公表するべきものではないだろうか。
評価ロジックを公表しないのは、あまりに簡単なロジックなので、恥ずかしいのか、あまりにめんどくさいロジックなので、ドキュメントが膨大で公表できないのか、はたまたは、昔、TVの裏に張りつけられていた回路図がいつのまにか無くなってしまったように、どうせ誰も見やしないと思っているからなのか...



ところで、先日の話のなかで、クルクルダイヤルはスリットとフォトカプラを使用しているんじゃなかろうか?と、書いたが、ハード屋さんに聞いたら、4ビットとかのバイナリ出力のダイヤルを使っているんじゃないの?と言われた。確かに、ひとつ前の値を覚えておけば、値がアップする方向か、ダウンする方向か、どちらに回されたか判別することができる。そういう、スイッチであれば、スイッチのカタログにいっぱい載っているけどね。でも、バイナリ出力であれば、2,4,8,16の2進の系列だと思うのだけど、EOS-RTのダイヤルは14クリックで1周する。なんか、変だな。


*1 いわゆるスポットメーターのことです。私は民生用のスポットメーターしか知りませんので、あしからず。
*2 経験と勘でしょうね。経験と勘に頼らず、目的の露出値を算出する方法があれば、今頃はスポットメータは、みなその方式になっていることでしょう。