理想の露出計を求めて その5 〜 露出の求め方 〜


本題の前に、
やっと玉田カメラマンのホームページにもPentax 67Uの紹介がされましたね。

1.10月号のどのカメラ雑誌にも67Uは載っていなかった。
2.Impressの山田久美夫カメラマンのページで、フォトキナ前日には会場にあった。


と、いうことは急遽出品されたのですかね。
でも、11月下旬発売は早いね。

ある掲示板で露出の話題で少々盛り上がっていたが、口出しは差し控えておいた。
やはり、「私の考え方は少々一般的ではない。」という自覚があるからである。
4年ほど前に写真撮影を始めたときに何十冊か本を買った。
でも、私には何がなんだかよくわからなかったのである。
たしかに、
入射光式露出計は18%グレーが基本です。露出補正しましょう。
白っぽい被写体はプラス補正。
黒っぽい被写体はマイナス補正。

とは書いてあった。
しかし、では、絶対値がいくらの補正をしましょう。とは書いていないのである。
絶対値がわからなければ補正することに意味はあるのか。
もちろん補正量は被写体の色(反射率)によるわけであるが、
「この色は18%グレーに比較して2/3EV明るいはず」なんて私にわかるわけない。
そんなに勘はよくない。
余談ではあるが、知人の営業写真館のオヤジさんと話をしていて、
「昔は露出計なんて見なくても手が勝手に動いてシャッター速度と絞りを合わせたら
露出はぴったり合っていたもんだ。ただし、その時の露出は絞りとシャッターの
目盛りを見なきゃわからなかったけどな」
といわれていた。
うーん、こういう人もいるのである。
もっとも、ネガだからできるのであろうと密かに思っているけど。
でも、多分わたしには無理であろうと思う。そんなに勘がいいほうではないし、
そんな職人芸を練習するつもりは無い。
構図は芸術であっても露出は工業的な技術でなんとかすべし。と願うからである。

以前に似たようなことを書いていて、玄光社のカラー露出マニュアルが詳しいと書いたが
もうひとつ。

数年前にカメラの大手チェーン店でKonica IMPRESA50 のプロテクガイドというペラの
パンフレットを配布していた。
片面が18%グレー(?)になっている紙である。
今日、久々にカメラ屋に行ったら、IMPRESA50の135 36枚撮り3本パッケージにプロテクガイド付き
というのを売っていた。裏がグレイのパッケージである。中身は見ていないが同じことが書いてあるのであろう。
要約すると以下のようなことであった。
カメラまかせのAE露出値で
撮影する場合
1.あらかじめプラス0.5〜1段の露出補正をしておく。
プロテクニックを使う方法と
キーワード
1.あらかじめプラス0.5〜1段の露出補正をしておく。
2.人の肌に近い濃度(18%グレー)の部分のみをカメラで測光。
3.必要ならその測光値で±0.5段〜1段の3段階露光。
TECNIC 上記三つの方法を使う理由として
1.被写体の輝度域をネガ上にくまなく記録するために、シャドー基準測光をします。
2.被写体反射率に影響されないために、測り方と測るものの精度を高めます。
3.他の誤差要因(例:カメラの光学系の誤差など)やカラーバランスの崩れを予測し、
フォローしておきます。

上記がプロのテクニックというなら、それは悪い冗談であろうが、決して間違っているわけではない。
基本中の基本であろう。
ポジなら、ハイライト基準、
ネガなら、シャドー基準
つまり、フィルムを真っ白にしちゃいけないよ。
ということである。
もちろん、フィルム上で、撮影時に自分のイメージ通りのフィルムができあがれば問題ない。
1の0.5〜1段の露出補正なんていうのは最善よりも、最悪を回避しているのである。
ただ、IMPRESAは元々実効感度が低いって話もあるけど。

どうせ、ネガでもポジでもプリント時には補正されてしまうのだから。

ここまでは反射光式露出計での話である。
私は測光はできるだけ入射光式の露出計でおこなうようにしている。
反射光式では基準がないからである。
もちろん、反射光式の露出計でも18%のグレーカードを測光すれば似たようなものであろうが、
だったら、最初から入射光式でよいではないか。
そこから、勘で露出補正してゆけばよいのである。
しかし、夕日や朝日といった発光する被写体や直射日光のあたらない曇天のときなどは、
入射光式露出計では役に立たない。
そのような時は反射光式露出計が活躍することになる。
適材適所である。

Nikon F5の発表されるずっと以前から、反射光式露出計は色を判断すべきである。と、友人と
話あっていた。
が、F5が発表されてわかったことは、やはり反射光式露出計で精度よく撮影者の考えている露出にするのは
難しいということであった。
例えば、白い壁があったとして、それが、直射日光の当たった18%グレイの壁なのか、
曇天時の90%グレイの壁なのかは反射光式露出計にはわからないのである。
入射光式露出計には明確な基準があるが、反射光式露出計の基準は不定なのである。
つまり、反射光式露出計には、撮影者の意志を伝えてやらなければ、撮影をおこなうのに
必要な露光量は出てこない。
というより、反射光式露出計は元々輝度差を求めるものなのである。


私の考える理想の露出計に最も近いものが、富士写真フィルムのDS330である。
DS330にビューファインダーを付ければ絞りやシャッター速度と画像が表示される。
もはや、ポラの代わりになるのではないだろうか。
もちろん、精度的には物足りないかもしれない。
しかし、大ハズレはないだろうし、逆光などで3〜4段も補正するような悩ましい場合は役に立ちそうである。

今後、ディスプレイ付きのデジタルカメラのような反射光式露出計が出現することを私は希望する。
課題は、CCDとディスプレイの輝度に対するリニアリティであろう。
特にディスプレイの明るさを変えるだけで露出が変わってしまったのではなんにもならない。
ひとつヒントを言っておく。
例えば、スチルカメラのファインダーのようにディスプレイを奥まったところで覗く形式にしておいて
その横にでも基準のグレイの塗装を設置して、ディスプレイにグレイを表示させ、色を合わせるようにして
校正できるようにしておけばかなり精度はあがるのではないだろうか。


元々、ディスプレイ装備のデジタルカメラは露出に関しては完璧と言ってもいいかもしれない。
なにせ、ディスプレイに表示された画像にごく近いものが記録されるのだから。
が、デジタルカメラの画像が4×5や8×10を凌駕するのはいつのことだろうか。