TclPro
TclPro開発環境は、プロのTcl開発者のための強力な開発ツールセットです。
以前は有償ソフトでしたが、現在はフリーソフトになっています。
TclPro1.4.1の構成は以下の通りです。
デバッガ
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ブレークポイント、ステップ、スタック、変数の表示等のデバッグ機能を持ちます。
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チェッカ
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Tclスクリプトの潜在的なエラー、性能、互換性等の問題を指摘します。
C言語のLintやHtmlのWebLintのようなツールです。
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コンパイラ
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Tclスクリプトをバイトコードに変換します。アプリケーションのソースコードは配布不要になります。
知的所有権の保護やソースコードの改ざんを防止できます。
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ラッパ
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Tclアプリケーションの実行に必要なもの全てを1つの実行形式にラップします。
アプリケーションを配布するときに便利です。
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Tcl/Tk 8.3
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Tcl/Tk 8.3.2の実行環境です。tclsh,wishインタプリタがバンドルされています。
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拡張パッケージ
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Tcl拡張の[incr Tcl], [incr Tk], TclX, Expectがバンドルされています。
バイトコードを実行するためのtbcload拡張を含みます。
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強化インタプリタ
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バンドルされたTcl拡張をサポートするprotclsh, prowishインタプリタです。
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TclProは、以下のプラットフォームをサポートしています。
- Windows
- Solaris (SPARC)
- HP-UX
- Irix
- Linux (Intel/glibc2)
以下はWindowsでの例ですが、その他のプラットフォームでも操作性は同じです。
インストール
Windows版はインストーラがあるのでインストールするのは簡単です。
インストールの際にフリーライセンスキーを入力する必要があります。
インストールが完了すると以下のフォルダが表示されます。
デバッガの画面はペインスタイルで、スタックウィンドウ、変数ウィンドウ、ソースウィンドウがあります。
ウィンドウの境界線をドラッグしてウィンドウサイズの調整ができますが、
それ以外のカスタマイズは、ツールバーとステータスバーの表示/非表示切り替えと色の変更ができるだけです。
最初にFile→New Projectでプロジェクトファイルを作成して作業を開始します。
以下の様に、デバッグのための基本機能を備えています。
[ウィンドウ一覧]
- スタックウィンドウ
スタックフレームの表示/切り替えします。
- 変数ウィンドウ
スコープ内の変数の表示をします。
変数に対してブレークポイントを設定できます。
常に監視したい変数はウォッチに登録できます。
- ソースウィンドウ
ソースコードの表示をします。
行に対してブレークポイントを設定できます。
[モードレス・ダイアログ一覧]
- ブレークポイント・ダイアログ
ブレークポイント一覧の表示、削除、コードへのジャンプができます。
- コンソール・ダイアログ
コマンドの実行ができます。
- プロシジャ・ダイアログ
プロシジャ一覧の表示、絞込み、コードへのジャンプができます。
- ウォッチ・ダイアログ
変数の登録、表示、削除ができます。
- データ表示ダイアログ
変数の詳細表示ができます。
[実行制御機能一覧]
- Run
- Stop
- Kill
- Restart
- Step In
- Step Over
- Step Out
- Run To Cursor
- Step To Result
チェッカはMS-DOSプロンプト(コマンドプロンプト)から使います。
procheckコマンドの引数にTclスクリプトを指定するだけです。
チェック結果は標準出力に出力されます。
C:> procheck foo.tcl
C:> procheck foo.tcl bar.tcl
C:> procheck *.tcl
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コンパイラはMS-DOSプロンプト(コマンドプロンプト)から使います。
procompコマンドの引数にTclスクリプトを指定するだけです。
コンパイルすると.tbcという拡張子のバイトコード・ファイルを生成します。
出力ファイルまたは出力フォルダを-outフラグで変更できます。
C:> procomp foo.tcl
C:> procomp c:\dir1\*.tcl
C:> procomp -out bar.tbc foo.tcl
C:> procomp -out c:\dir2 c:\dir1\*.tcl
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バイトコードは、強化インタプリタで直接実行できます。
(注意) バイトコードの互換性は以下のようになっています。
バイトコード形式 | TclProコンパイラの版 | Tcl/Tkの版 |
1.3 | TclPro1.3 と TclPro1.4 | Tcl/Tk8.2以上 |
1.0.1 | TclPro1.2 | Tcl/Tk8.0,8.1 |
ラッパは以下のようなコンポーネントを1つの実行形式にラップします。
- 1つ以上のTclスクリプト
- 標準またはカスタムTclインタプリタ
- 標準Tclライブラリとサポートファイル(例えばinit.tcl)
- オプションで、標準Tkライブラリとサポートファイル
- オプションで、1つ以上のTclスクリプトのライブラリとして実装された拡張
- オプションで、追加データファイルやビットマップ等
ラッパはMS-DOSプロンプト(コマンドプロンプト)から使います。
prowrapコマンドの引数にコンポーネントを指定するだけです。
wishインタプリタとTcl/TkライブラリとTclスクリプトとビットマップをmyApp.exeにラップします。
C:> prowrap -out myApp.exe myApp.tcl help.tcl images\*.gif
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myApp.exeの実行は、以下のコマンド入力と同じ結果になります。
TclProには2つの強化インタプリタがバンドルされています。
これらのインタプリタは以下の3点を除いては標準のtclsh,wishインタプリタと同じです。
- TclProの全サポートプラットフォーム用にコンパイル済みなので、ソースファイルからコンパイルする必要はありません。
- TclProに含まれる全ての拡張をサポートします。
- tbcload拡張をサポートします。この拡張はTclProコンパイラによって生成されたバイトコード・ファイルを実行するために必要です。
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