4.25 個人情報保護法案の趣旨説明および審議入りにあたっての声明
4月25日 日本プレスセンターにて、「個人情報保護法案の趣旨説明および審議入りにあたっての声明」発表。抗議声明の趣旨に賛同する城山三郎氏、井上ひさし氏も参加し会見。(写真=ついに城山さんまでもが小泉首相を見限った!)
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■朝日新聞■読売新聞■毎日新聞■共同通信■時事通信

【個人情報保護法案の趣旨説明および審議入りにあたっての声明】


 本日午後、衆議院本会議場において個人情報保護法案の趣旨説明が、竹中平蔵担当大臣によって行なわれた。
私たちはその様子を私たち自身の目で見、耳で聞いた。このままいけば法案は、行政機関等の個人情報保護法案とともに内閣委員会で審議可決される見込みだという。

 私たちは怒っている。
 私たちはあきれている。

 私たちは本法案の全容が明らかにされた昨春以来、くり返し問題点を指摘し、廃案を求めてきた。
 この法案は、報道・表現の自由を殺そうとしている。
 この法案は、政財官の腐敗のただなかにあって、かろうじて正義の意思を貫こうとする者たちを萎縮させ、窒息させようとしている。
 この法案は、あらゆる個人の生の叫び、表現の発露を監視しようとしている。
 そして、何よりこの法案は、一人ひとりにとってもっとも内密な信用・通信・医療分野の個人データを保護するようにはできていない。
 ひとことで言えば、本日、趣旨説明の行なわれた個人情報保護法案は、近現代社会の原理原則であり、日本国憲法も保障する基本的人権に由来する個々人の表現活動を規制するばかりの、稀代の悪法と言わなければならない。
 このような悪法が、やはり今国会で審議されようというまがいものの人権擁護法案や有事法制などとひとつながりの枢軸をなし、成立しようとしていることに、私たちは怒っている。

 しかも、この社会の根幹にかかわる重要法案を審議しようという国会は、いわゆる真紀子騒動とムネオ疑惑に始まって、辻元、加藤両人の議員辞職を経て、最近の井上参院議長の辞職に至るまで、足の引っ張り合いとだまし討ち、腐敗と私欲の渾然一体、魑魅魍魎の跋扈する回り舞台と化し、真剣な議論のできる気配すらない。
 国会は機能不全に陥っている。
 これが国会なのかと、私たちはあきれてもいる。

 もとより私たちは電子技術の急速な発展と、官民双方が着々と収集・蓄積・利用している個人データの氾濫が、私たちの暮らしとアイデンティティーすらおびやかす事態を深刻に受け止めている。個人が自己に関するデータを管理する権利をきちんと打ち立て、将来における個人データ取り扱いのルールを作り上げる必要を切実に感じている。

 だからこそ私たちは、本日、ここで重大な提案をしたい。

 小泉首相は衆議院を解散せよ!
 それぞれの議員はただちに有権者のもとにもどり、個人情報保護法制をはじめとする重要案件について語り、語り合え!
 そして、有権者一人ひとりの信を問え!

 もちろん私たちもこのプロセスに協力し、関与する。これまで個人情報保護法制について議論してきたこと、報道や表現のあり方について考えてきたこと、個人データの収集・蓄積・利用について検討してきたことのすべてを傾けるつもりでいる。
 こうした提案と努力が意義あるものとして実ることを、私たちは期待する。

  二〇〇二年四月二十五日

個人情報保護法案拒否!共同アピールの会