福田康夫氏宛の抗議文

拝啓 福田康夫様

 もう、メディア報道でご存知でしょう。フリージャーナリストや作家たちでつくる「個人情報保護法案拒否!共同アピールの会」です。福田さん、すでに小泉内閣は新聞、出版、テレビの全メディアに包囲されました。全メディアVS国家の対決図は60年安保以来の出来事です。

 貴党の阪上善秀議員は、この法案の問題点を、メディア規制に限定せず、「個人情報の保護の面から見ても不十分だ。何事も拙速に決めることはいけない。もう一度慎重に考える必要がある」と、毎日新聞に語り、法案を審議する内閣委員会理事を辞任しています。

 それでも、強行突破なさいますか。

 私たちは、秘書給与問題や愛人スキャンダルなど与野党議員ともに不祥事が続発しているいまの国会に絶望し、「国会は、色と欲とカネにまみれて、いわば液状化してしまった状態にある。いまの国会議員に日本の進路を決める重要な法案を審議する資格はない」として《衆議院解散》の声をあげました。

 そのスタートを、今日4月29日あなたのお膝元の高崎の地で切らせていただきました。日本を情報統制の“戦争国家”に導くかどうかの決定的役割を果たしているのは、小泉首相より〈あなた〉だという認識からです。

 あなたのお父上は、あの赤軍ハイジャックの時、欧米の非難を受けながらとにもかくにも「人命は地球より重い」という信念を貫かれました。アメリカに屈しない日本の姿を曲がりなりにも通しました。

 お父上の“平和の志”を継ぐお気持ちは“ゼロ”でございますか?

 ともあれ私たちは個人情報保護法案・断固「廃案」の道をこれからも歩みます。法案を「一から出直させる」ために、解散の声をこの群馬の地からスタートさせ、5月には小泉首相の横須賀、続いて沖縄、札幌、広島、福岡……と、全国各地からも同じ声があがるでしょう。全メディアだけでなく、今度は国民、市民の声が小泉内閣を包囲することになるでしょう。

 福田さん、最後にこう申し添えます。

 私たちの〈衆議院解散〉の声は、ある意味では小泉さんを苦境から救う道も作るのではないですか? あなたとは、またどこかで出会ってこの国と民のためにじっくり話しあう機がくるような気がします。

 それまではお互い、自分たちの信ずる道を精一杯歩きつめましょう。

2002年4月29日 個人情報保護法案拒否!共同アピールの会