共同アピールの会会議報告(会議はこん〜な感じ)

5月7日(火)7時00分

みんな結構忙しいはずなのに、毎週火曜日の夜はいつもこうだ。

共同アピールの会の会議……。

マガジンハウス7階会議室にまた今日も約40人が集まった。


仕事のおつきあいもあるだろうに……。


家に帰って家族と語らう時間も欲しいだろうに……。


ジムへ行って上腕二頭筋鍛えたいだろうに……。



スッチーから合コンのお誘いがあっても「火曜日はダメなんだよねー」って断っちゃうのはなぜ?



1円のトクにもならないことを嬉々としてやっているのはなぜ?



……しかも、この活動…


もう1年を過ぎたぞ。



1年たってやっと新聞・テレビも大きく報道しだしたけれど、どうもメディア規制ばかりが強調されすぎている。本質はそこじゃないのに……。


さーて、今日も議題はてんこもり。

まず、外国人記者クラブと記者会見、特派員記者との会見、地方からの講師派遣要請の検討。野党からの勉強会出席依頼。国会会期をにらみながら次にやる出し物の検討&吉岡プロジェクトの発表と意見交換……。




今日の会議に登場した初めてのゲストは……


梓澤和幸弁護士
http://www.azusawa.com

そう、NHKに「訂正放送」を命じた『生活ホットモーニング』裁判、柳美里「石に泳ぐ魚」裁判などを担当し、報道被害救済弁護士ネットワーク活動で走り回っている熱血弁護士・梓澤さん。メディアに対してかなり厳しい意見の持ち主だ。

掲示板でも、主務大臣や罰則規定に関しての話題があったけど、 タイムリーなことに梓澤弁護士がこの問題について解説してくれたので、ダイジェストで紹介します。

まず、規制される対象は第二条2項一、二で、データベース化された名簿だけでなく、索引可能なすべての名簿を持つ人間を対象にしています。営利企業だけでなく、市民運動を含むすべての団体、5000件程度の名簿を持つ個人であることに留意してください。

次に、問題の規制する主体ですが……

【第四十一条】  ……主務大臣は、次のとおりとする。ただし、内閣総理大臣は、……個人情報の取扱いのうち特定のものについて、特定の大臣又は国家公安委員会……を主務大臣に指定することができる。

【第五十六条】 ……主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととすることができる。

【第五十七条】 この法律により主務大臣の権限又は事務に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。


文部科学大臣や外務大臣が規制するってピンとこないなと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし法案にはちゃんと国家公安委員会とあります。国家委員会は警察法5条で警察を管理するとされています。また、警察法38条に知事の所轄のもとに都道府県公安委員会をおくとあります。つまり主務大臣=警察庁、都道府県警が想定されているのです。

では、主務大臣=警察と置き換えて報告徴収権限と報告義務違反について規定した条文を読んでみましょう。

【第三十七条】 主務大臣(警察)は……個人情報取扱事業者(あらゆる団体)に対し、個人情報の取扱い(名簿、メーリングリスト等)に関し報告をさせることができる。

本来の目的から逸脱していないか、警察へ報告の義務が生じるわけです。行政機関としての警察権限の拡大ですね。そして、

【第六十二条】 ……報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

なんだ罰金か、というわけにはいきません。現行犯人ですから、主務大臣が警察ならば、刑事訴訟法213条、217条、220条により、令状のない逮捕、捜査、差押がされるおそれがあります。

次に是正命令を記した第三十九条を見ると、主務大臣(警察)は ……規定に違反した場合(データベースや索引付き名簿の目的外使用、第三者への提供など)……個人情報取扱事業者(あらゆる団体)に、是正勧告、是正命令をだせるし、緊急のときは勧告抜きで命令をだせるとしています。命令に違反したものは、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(第六十三条)です。

学問、報道は適用除外とされていますが、誤解です。学問研究では、大学の教師以外はみな、報告義務、是正命令の義務を負います。警察が報告をもとめ、法の義務を守った研究か否かを審査する権限を警察がもちます。報道機関も報道目的で個人情報を取り扱うときに限り義務が除外されるにすぎません。少なくとも警察が報告を求めることが出来るのは間違いなく、報告しなければ現行犯逮捕、令状なしの捜査となります。また、報道目的でなければ是正命令をだすこともできます。そして報道かどうかの判断をくだすのは警察です。

命令については、行政処分の公定力の理論で仮処分では争えません。行政処分の取り消し訴訟を起こし、執行停止を求めることができるにすぎません。ハンセン病訴訟を見ればわかるとおり、80年かかります。

……と、運用次第でここまで可能な法律なのです。いかがでしょうか。

(梓澤さんはこの法案をメディア規制というだけでなく、市民運動、組合運動、NGO、表現活動を総合的に抑圧するコンピューター時代の治安維持法と命名しています。)