9.14 仙台から東京を撃て!頂上作戦リポート

9月14日夕刻、仙台市の「141ビル」5階にあるセミナーホールで開催された「個人情報保護法案・市民と報道はどうなる?」に参加し、話をしてきました。

参加者は90数名、うち半分が東北各県のマスコミ関係者、半分が新聞とラジオでやった告知で知ったという市民たち。主催は宮城マスコミ文化共闘会議、新聞労連東北地連、民放労連東北地連でした。「地方から東京を撃つ9月プロジェクト」の一環である旨も明記されていました。

18時30分から1時間、私が話し、その後21時近くまで東北放送アナの藤原智子さんのコーディネートで、新聞労連委員長の畑衆さんと私が会場からの質問を受けながら話す、という具合に進行しました。

私は9月28日の第2部テーマである「治安と不安」を頭に置きながら、共同アピールの会がどのように思考を深め、行動を広げてきたのかという流れと、柄の悪くなったニューヨークの変遷をまじえて話しました。論旨はちょっとアクロバットですが、9・11から1年をめぐる洪水のようなニュースから抜け落ちていた点だったので、多少はわかってもらえたのではないか……と自画自賛しておきます(笑)。

畑さんはここ数年のメディア批判について答えながら、政府与党は住基運用と個人情報問題とをセットにしようとしているが、本来は別個の法案であることを述べるとともに、そもそも与党入りしたかった公明党が妥協の産物として両者をくっつけ、しかも小渕首相がお墨付きをあたえたものの、先の福田官房長官が「あれは政治姿勢を表明したものにすぎない」とひっくり返した経緯を紹介して、「総理大臣の言葉がこのごろは何と軽くなったことか」と嘆いて(?)いました。ということは、小泉さんがいくら「個人情報保護法を使ってメディア規制をするつもりはない」と声を張り上げても、次か次の官房長官が「いや、あれはたんに政治姿勢を述べたもので、法律は法律として厳正にやります」などと言い出すに決まっている。

その後の宴会は20名ばかりが繁華街にくり出し、23時過ぎまで。ここは若い女性が元気です。それに、彼女たち、よく飲む。そのうちの1人がなじみの店だったようで、店長から1升瓶の差し入れまでありました。

畑さんも私も問われるままに、最近のアフガンの様子などを話し、いかにローカル局、ローカル新聞とはいえ、共同通信や時事通信だけに外国ネタを任せてはいけない、独自取材に行けーっ、とハッパをかけました。で、最後は「今回はわれわれが仙台にきたのだから、28日は絶対東京に出張ってきてくださいっ」とお願いして、お開き。

畑さん、翌朝は都内の集会に出るというので、ばたばたとラーメン屋で薄味ラーメンを食べただけで、ホテルにもどりました。けさ、私が気づいたときは、もう部屋はからっぽでしたから、無事間に合ったのでしょう。

なお、例の缶バッヂ、事前に送っておいていただいたので、たくさんのスタッフがつけていましたし、会場でも売れていました。ほとんど売り切れだったんじゃないかな。

9・28のビラも独自に作って配ってくれていました。

さあ、何人くるか?


(文=吉岡忍・ノンフィクション作家)


 「悪法追放へ地方から東京を撃つ9月プロジェクト」の仙台討論会は14日、仙台市青葉区のエル・パーク仙台で開かれた。「個人情報保護法案 市民と報道はどうなる?」がテーマ。ノンフィクション作家の吉岡忍氏が問題提起したのに続き、新聞労連委員長の畑衆氏、東北放送アナウンサーの藤沢智子氏を交え、意見交換した。

 宮城マスコミ文化共闘会議などの主催。土曜日の午後6時半からのスタートにもかかわらず、約100人が来場し、吉岡氏らの言葉に熱心に耳を傾けた。

 吉岡氏は、個人情報保護法案がメディア規制のほか、(1)すべての国民に網を掛け、官僚にとって最も望ましいシステムとなる「監視社会」が実現する(2)マーケティングなどの商売に個人情報が資源として利用される―などの問題点を指摘した。

 また、昨年の「9・11」テロ後に米国に滞在し、新帝国主義に突き進む米国や、その社会の変貌ぶりを目の当たりにした経験から、「米国を頂点とした新帝国主義では、すべての争いは内側から起きる。結果的に絶えず、身の回りや周辺から危なっかしい者を探し出さなければならない。その中では、個人情報も治安の対象として使われかねない」と強調した。

 続いて行われた討論では、個人情報保護法案が、市民生活にどのような影響をもたらすのか話し合った。「情報が大量に流され、蓄積されるデジタル革命が進んでいる。個人情報が企業などに蓄積され、目的外使用される危険性もある。そこでどう安心な社会をつくれるのか。現時点では見えてこない」と口火を切ったのは畑氏。吉岡氏は「個人情報は、それぞれの個人のものだ。法案にはそのことが書いていない」と言葉を継いだ。

 さらに、吉岡氏は(1)電気通信(2)医療(3)金融―など特定の分野については、個人情報を守るきちんとしたルールを早急に整備すべきだ、と主張。畑氏は、住民基本台帳ネットワークのように個人情報を一元管理するシステムの危うさを指摘した。

 会場からは「住基ネットと個人情報保護法案をどうリンクさせて考えればいいのか」「法案が通れば、行き過ぎた報道から市民は守られるのか」などの質問があり、吉岡、畑氏と活発に意見交換した。

 最後に、「個人に何ができるのか」との藤沢氏の問いかけに、畑氏は「個人情報について、役所の管理に任せるのか、そうでないのか、個人の選択の自由があって当然。仙台でも自治体や議会に働き掛けてみてはどうか」、吉岡氏は「個人情報に関する問題は、自分の足下で考えられる。私自身の情報をどうするのか、じっくり考えてもらいたい」と、来場者にメッセージを残した。