ショップ制 労働組合の団結を維持し、その機能を強化するために、労働組合法第7条第1項の但し書きで認められている 労使間協定で取り決められた労働組合の形のことを○○ショップ制と言います。 但し、その事業所で組織される労働組合が、同事業所の労働者総数の過半数で占めるものでなければ、 この協定は無効とされます(ここで言う「ショップ」とは、労使間で様々な約束事や取り決め事を交わす「協定」の 意です) 様々なショップ制 1)オープンショップ制 使用者が雇用する労働者に対し、特に労働組合員であることを雇用条件にするといったことを決めていないもの。 基本的に労働組合員とそうでない者との労働条件等の処遇の違いはありません。 2)クローズドショップ制 使用者が雇用する労働者は、労働組合員から雇用しなければならないとする制度で、労働者が組合員である 資格を失った時は使用者はその労働者を解雇することになります。 この制度は産業別労働組合が存在する国々に見られるが、日本では見られません。 アメリカ合衆国では、タフト・ハートレー法によってクローズドショップ制を禁止しています。 3)ユニオンショップ制 使用者が労働者を雇用する時は、労働組合員であってもそうでなくても構わないが、雇用された労働者は、 一定期間内に労働組合員にならなければならないとする制度で、一定期間内に労働組合員にならなかったり、 組合員である資格を失った時は使用者はその労働者を解雇することになります。 日本の大手企業に存在する主な労働組合に見られます。 但し、実際はいわゆる「尻抜けユニオン」という体制が敷かれていることが多く、労働組合員である資格を失っても 雇用については別途労使間で協議し、決定することが多いようです。 ユニオンショップ制は、労働者に組合への加入を義務付けるものではありませんが、実質的に見れば、労働者に 労働組合への加入を強制することになるため、労働者の結社の自由(組合に加入しないという消極的な結社の自由) との緊張関係を生じます。そのため結社の自由を保障する憲法21条に違反しないかが問題となりますが、 結社の自由によって労働組合を結成する権利が憲法上既に保障されているにも関わらず、あえて特別の規定によって 憲法が団結権を保障している点に鑑みると、憲法は団結権の保障に特別の意味を与え、個々の労働者の組合に 加入しない自由よりも、労働者の生存の基盤となる組合を強化することを優先していると見るべきであるから、 労働協約や労働法制においてユニオンショップ制を採用しても憲法に違反しないとされています。 アメリカ合衆国の場合、州によっては労働権利法(Right-to-work law)を適用し、ユニオンショップ制を禁止している ところもあります。 4)エイジェンシーショップ制 労働組合への加入は労働者の意志によるが、労働組合員でない者でも、団体交渉にかかる経費と、苦情処理に かかる経費を会費として支払わなければならないという制度です。ただし、労働組合員でない者は、それ以外の経費 (ロビー活動にかかる経費や、労働組合員のみに与えられる特権の経費など)を支払う必要はありません。