押し絵、布細工の一種。(押す)張り付ける の意味である。 花鳥、人物などの下絵を置き、 部分部分一片づつ厚紙で切り抜き、 それぞれの布できれを包むが、この時厚紙と布の間に綿をふくませて膨らみをつける。 これらの片を下絵に習って継ぎ合わせて 画面を作りあげる。 つまり、布で作ったレリーフ(浮き絵)である。 正倉院宝物中の、人勝は平面的だが 押し絵の祖となすものと言えよう。 |
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押し絵は上代にも行われたらしいが明らかでない。 江戸時代大奥女中の手芸として 流行発達して家庭の婦人の細工物となり、 これで小箱の蓋を飾り、 箸入れを作り額面に仕立てたりした。 ことに羽子板に応用する事が、流行した。 (花結綿絵合)などの手引き書も出版されている。 明治初期までは婦人手芸の随一とされていたが、 のちのちおいおい衰え、 押し絵羽子板のみ今日なお盛んである。 平凡社「世界大百科事典」より |