音楽室ライブ
2005.06.04

今日は渋谷にある「音楽室」というところで野澤師のライブである。明日、一緒に愛川町でライブに出るのでこの日は野澤師をうちに連れて帰ることになっている。夕方家を出て、渋谷から二十分ほど歩いてたどり着いた。初めての場所なのだが地図を見ておけばこの辺りならだいたい迷わずにたどり着ける。故郷を持っていないと常々思っているのだが、やはり東京が故郷なんだな…、とつくづく思う。
 音楽室は三十人ほど入れるお店で、入口のところにはここでライブをやった人達のCDが飾られている。ジャズの人なんかもいて、場所も良いからなのだろうが盛況のようだ。野澤師は相変わらず元気そうで、お店の人やコアなファンの人達と話をしている。先日高田馬場「ジェリー・ジェフ」であったSM氏、YOKOさん、ミウミウさんが並んでいたのでそこに混ぜてもらった。トチポのKT氏とも久し振りにあった。耳鳴りがひどいということで気の毒である。こういうことは本人しか分からない辛さだから推し量ることしかできないけれど、なかなか言葉が出ないものだ。
 店の半分ほどを若い、学生風のオニイサン、オネエサンが座ってはしゃいでいる。特に女の子はそれぞれ洗練された感じで、ひょっとしてライブとは関係ないお客さんなのかな…、と危惧した。横浜のライブのような状況は辛いからなぁ…。
 演奏が始まるとそんな懸念は吹っ飛んだ。彼らはノリノリで野澤師の曲に入っている。特に前の方にいるオニーさん達は真剣な顔で野澤師のギターテクニックを見ている。後ろの方のオネーさん達もクネクネと体を動かして楽しんでいる。野澤師の唄をこんな風に楽しんでいる若い人達を見たのは初めてといっていいだろう。
 野澤師の演奏もいつになく切れていて、前回に続いて一皮剥けた感じがした。演奏自体に包容力が増した、とでも言えば良いのかな、一つの芸として完成されてきている。
 私はよく演奏を落語に例えてしまうのだが、音楽も落語も似たようなところがある。特にお客さんを前にしてやるものとしてはかなりの共通点があると思うのだ。私は飽きやすい性格なので自分でも同じ唄を何度も歌っていると飽きてしまう。しかし野澤師はライブで同じ曲を何度も歌っているのである。当然演奏にも工夫がなされ、よりお客さんに溶け込めるように洗練されてくる。意図的な工夫を越えてしまうと、その演奏に包容力が出てくる。こういうのを落語では「名人芸」というのである。私は野澤師の唄を聞きながらそんなことを考えていた。

 一時間ほどで休憩に入る。「凄くなってきたねぇ、」などと話していたら妙に巨漢の、長髪の男性と目があってしまう。よくよく見たら「461」でお世話になった杉山さんであった。とても高校の先生とは思えない姿だったのでしばらく分からなかった。本当に数年振りの再開でした。お元気そうでなによりです。
 さて、後半はますます快調で、いわゆる「名人芸」の真骨頂を発揮していく。若者の集団も少し増えて、なんだかんだいって盛況である。「アコースティックなりズム&ブルース」では若者たちと掛け合いをする新技も披露してくれた。凄いものである。

 ライブの後はみんなと楽しいおしゃべりをしていたのですが、野澤師は私とは少し離れて別のファンの人達としゃべっていました。十時半頃おもむろに演奏を始めました。みんな疲れていたのですが、静かな演奏に集中しておりました。最後の最後に「だりだりでぃんどん」が演奏された。なんかしみじみとした雰囲気でこの曲を聞くと、狂気が心に染み込むようで、これぞ野澤ワールドの真髄に立ち会っているような凄みを感じてしまう。しかも誰も録音していないという皮肉。ここにいた人達だけが共有した瞬間なのであります。
 十一時はとっくに過ぎていたのだと思います。それからまたあれこれおしゃべりして、野澤師の車を運転してYOKOさんのうちに立ち寄って家に着いたのは午前三時過ぎ。それから少しだけ飲んで、四時前にはなんとか寝ることができました。
 進化してだんだん名人の域にちかずいてきた野澤師のステージです。もっとたくさんの人に見てもらいたいと思います。でも、あの内在する狂気はあまり一般向けではないのかなぁ…。若い女の人が何かを感じてしまうようですね。私にはよく分からない世界です。これが野澤師の魅力の一つなんだろうなぁ……。

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