勇者ヘロルド4世とその後

 昔パルポア国の王ヘロルド4世がアンレイ島に住む人食い狼を退治に出かけ反対に食べられてしまいました。
 そんなわけで彼の妻は未亡人に、子供は父無し子になってしまいました。
 この事件からおよそ400年程後のアーデルハイドという村に白雪姫という女の子がおり、彼女は幼くして父親のわからぬ7人の息子を養いながら大層苦しい毎日を送っていたのでした。
 彼女達の隣りには一年程前から心の優しそうなお婆さんが住みついており大層豊かな毎日を送っておりました。
 白雪姫は大層ひねくれ屋の妬み屋さんでした。
 白雪姫の家からは、お婆さんの家の高い塀を隔てて、大きな実のなったりんごの木が見えます。
 けれど白雪姫の家のりんごの木は栄養が足りないせいかひとつも実がなりません。
そんなある日、お婆さんは可哀想に思って白雪姫と7人の息子達のために籠いっぱいのリンゴを持っていってあげました。
白雪虹は大変喜んで、うれしそうにお礼を言ってそのプレゼントを受け取ったのでした。
皆さんおかしいと思うでしょう。
だって白雪姫は大層ひねくれ屋の妬屋さんなのですから。
でもこれには恐ろしい理由があったんです。
”私はこれからあのお婆さんをおとしいれようと考えているのです。だから私がその張本人だとバレないようにしなければなりません。
 私はこれから村に行って「あのお婆さんは魔女であの大きなリンゴの木は悪魔の木。その実を食べると皆んな豚になってしまうのよ。」って言いふらして村の人達と暮らせないようにしてあげるの。
 この計画がうまくいったら私はなんて幸せな娘なんでしよう。”
 お婆さんが魔女だという噂は1日のうちに村中に広まってしまい、村人達は大騒ぎです。
 そして無知な村人達は酒場に集まり会議を開いたのです。

 いつの間にか白雪姫の話した事が本当の事になってしまい、村人達は倫理的にも論理的にも間違った考えで、あの親切そうなお婆さんを魔女だと決めつけてしまったのです。
“そう言われりゃよ。あの婆さんがこの村に来た時教会の十字架の所で黒猫が3回くしゃみするのを聞いただよ。”
 “オラン所もだ。あの婆さんが親切そうに家の馬っ子にってよ人参持ってきたでさっそく馬っ子に食わせたら次のロカカアがお死んじまったよ。”
 白雪姫はそこでまたこうも言いました。
 “そればかりではありませんよ。あのお婆さんは私達全部にあのリンゴを食べさせてどこかの街の豚肉専門販売店に売り飛ばす気なのよ。”
 これを聞くと村人達は猛烈に怒りだし“そんな事をされる前にあのババアをリンゴの木と一緒に焼き殺してしまおう!”
 とまあ大変な事になってしまいました。
 ところがその時ケチャッブリン神父が現れ。毅然たる態度でこう言いました。
“汝はやまるなかれ!故人日く「金持ちが必ずしも幸福とは限らない。子供は親の鏡なり。愛こそは全て」
 あなたは今倫理的にも論理的にも間違った考えであの老婆を殺そうとしているのですぞ!どうしても殺しに行くというのならこの私を殺してから行きなさい!”
 村人達は神父さんを殴り殺しました。

村人達はお婆さんの家に行きとうとうお婆さんをリンゴの木と一緒に焼き殺してしまいました。
お婆さんは“私は魔女なんかじゃありません。助けて下さい!”と泣き叫びながら死んでいきました。
村人達はお婆さんの家からの帰り道、魔女退治の満足感に浸りながらもよ<考えてみました。
 それで男狂いの淫売女の言う事よりもひょっとしたらケチャップリン神父とお婆さんの言っている事の方が正しいのではないか。自分達は正義という名を借りて他の人に乱暴したり、いじめたりする事で日々の鬱積した欲求不満のはけ口にしたかっただけかもしれないと思い始めました。
 それでもう一度事の真相を確かめようと先に家に帰った白雪姫の家に行ってみました。
 けれども白雪姫の家に彼女の姿は見えず、食いかけのリンゴとl匹の雌豚と7匹の子豚しかおりませんでした。
 そこで皆は大笑い。

絵と文・野沢享司


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