トゲナシヌマエビ

  地味ですけどとても好きなヌマエビです。とにかく丈夫で長生き。他のヌマエビ類や小型魚類のあしらい方?もうまいです。97年に沖縄で採集した個体が,4年以上生きてました。沖縄では特に個体数の多いヌマエビのようです。本州や四国などでも,黒潮の影響が強い地域の川では(それほど多くはないですが)採集することができます。ただ本州などで探すのはちょっとこつがいるかもしれません。四国にいた時も1カ所だけよく採れる場所があったのですが,どうしてそこだと多く採れるのかが,結局のところよくわかりませんでした。水草の間ではなく,水草の根っこの辺りのコケが生えているような石のすきまがポイントかもしれません。(偶然見つけたかなり小さい川で,もう一度行って調べてみたい気もしますが,10年以上たったので環境もだいぶ変わっているかもしれませんね。)日本産淡水魚を扱っている観賞魚店などでも,たまに見かけます。

 額角(両目の間から前に出る角)が短く,がっしりした体型など,ヤマトヌマエビにも似てるところがあります。ただし,ヤマトヌマエビのような特徴的な斑点が体側に見られない(せいぜい細かい点が散らばってある程度)ことで,区別することができます。

 足の力が強いらしく,下流に多いヌマエビですが,物につかまる足(脚)の力は強く,ある程度流れが強いところでもはい上がることができます。また,たも網ですくうとすぐそこから這い上がって出ようとします。水槽内では底砂の上などに多くいて,餌を探しながらちょこまかとよく動きまわります。水槽中のヌマエビ類を網などで捕まえようとする時に,後ろにただ飛び跳ねて逃げるヌマエビ類が多いのに対し,トゲナシの場合は近くの物陰に回り込むように逃げます。なかなかの曲者です。

産地別写真

沖縄島産(・高知県産)

 97年10月に沖縄島で採集。リュウキュウアユが放流されている川を見学に行ったついでに,流水部に接した水草の茂み辺りをガサガサやっていたら,10匹ほど採集できました(トゲナシのみでその他は採れず)。採集時には体表に細かい点が出たりしてもう少しきれいなのですが,私が飼育するとなぜか地味な色になってしまいます。底砂のせいでしょうか。
 高知県産の個体は,2000年5月に物部川で採集。ミナミテナガエビやヌマエビ(南部群)に混じって2匹だけ採れました。

 写真の個体は一番左が雌,他の2枚が雄でしょうか。抱卵した雌は,明るい間はなかなか表に出てきてくれません。撮影は2000年8月なので,3年近く水槽内で生きた個体のはずです(もしかしたら高知県産の写真が混じっているかもしれません)。

購入個体

 2006年4月になって,都内の観賞魚店にて久しぶりに見かけ,熱帯魚水槽用に購入しました。沖縄か奄美産でしょうか。1匹60円でした。20尾を60cm水槽に入れたら,さっそくウィローモスや流木の陰に隠れて姿が見えなくなりました。体型的にそういった隙間に潜り込むのに適しているようです。餌をあげるとぞろぞろと這い出してくるところなど,なんとなくチャバネゴキブリに似てるなあなどと,実はちょっとだけ思っています。下の写真は4枚とも抱卵している雌ですが,色斑のパターンには2通りあるようです。また色の濃さも個体によって異なります。

 こちらは雄と思われる個体。餌を与えると,他のエビに取られないよう持ち運んで逃げまわったりします。かわいいです。

 ヌマエビ類では,繁殖の際に雄のエビが多数泳ぎ回る光景(“抱卵の舞”)が観察されます。抱卵直前の雌は雄を引き寄せるフェロモンを放出するため,それに反応した雄エビが雌を探して一生懸命泳ぎ回ります。普段泳がずに底にいるエビが急に泳ぎ出すので,最初に見たときはとてもびっくりしました。
 トゲナシヌマエビの場合,ミゾレヌマエビやヌマエビ南部群に比べて,雄の興奮の度合いも激しく,泳ぎ回る時間も長いような気がします。しかし,私はまだ,雄に追いかけられているであろう当の雌個体を見かけたことがありません。雌の隠れ方がうまいのか,雄の探し方が下手なのか,ただぐるぐると雄が水槽中を泳ぎ回っているだけです。

石垣島産

 2007年11月に石垣島に旅行し,ヌマエビ類の採集・観察もおこないました。ミゾレヌマエビと並んで,特に多くみられたのがトゲナシヌマエビでした。

(以下,作成中)