[長編]ベスト5
とりあえず長編は順不同です。次点を含め『エドの舞踏会』以外は最後の最後で話がひっくり返るといった感じの作品を結局選んでしまいました。それも話の背後に隠されていたある意思が最後にやっと明らかになるという構成の凝りまくった作品が好みのようです。
『叛旗兵』
これはともかく楽しんで読めます。前半のゲーム的?な対決から後半で一転してラストのカタストロフィーへと向かう流れは,警視庁草紙と好一対といってもいい作品ではないかと思います。背後にちゃんと「ある意思」も隠されているし。
『忍びの卍』
一見めちゃくちゃな展開にみえて,背後の謀略というもので最後に話の筋を通してしまう腕の冴えは「凄い」の一言です。登場する忍者・忍法の数は少ないですが,その分人物設定や技のバリエーションが多彩ですよね。変な実験始めるし..。途中の妙な展開の面白さ,ラストのとんでもなさには本当に圧倒されました。
『忍法忠臣蔵』
主人公のひねくれ方が特に好きです。義士達の堕落話もそれぞれ怪しくなまめかしくていいですね。ラストは「やはりそうなるか」という感じ。一番なって欲しくないラストになってしまった。でも実はそれを漠然と期待していた自分もちょっと恐いです。
『警視庁草紙』
終盤の怒涛のような急展開に引きずり込まれてしまい,にも関わらず,ついついラストの部分が気になり途中で読んでしまったのは失敗でした。川路さんみたいな人が近くにいたらやはり恐いですね。登場人物達の多彩な人間模様もとても気に入っています。
『エドの舞踏会』
明治物の中ではちょっと毛色が変わった作品ではないでしょうか。それ以前の明治物がどちらかというと時代の流れに押し潰された人物をクローズアップしているのに対し,これは成功者達の話でもあります。もちろん主人公は夫人達ですが,それと対照的に描かれる政治家達の肖像もそれはそれ,人間味があって微笑ましいです。これも山風にしか書けない作品なのかなという気がします。
次点 : 銀河忍法帖 明治断頭台 誰にもできる殺人
[短編]
1.姦臣今川状
2.東京南町奉行
3.南無殺生三万人
4.元禄おさめの方
5.風の中の蝶(明治波涛歌)
6.いろは大王の火葬場
7.忍者本多佐渡守
8.笊ノ目万兵衛門外へ