縄文杉へ〜The road to Joumon sugi 〜
私達は白谷雲水峡と言うところから縄文杉を目指しました。これはその白谷雲水峡周辺の森林の様子です。すごく苔むした木が多いのにとても驚きました。ちなみに映画「もののけ姫」の背景のデザインとなったのもこの白谷雲水峡です。照葉樹林の森が広がっていました。
途中でこのようなトロッコ道を通っていきます。昔ほこの辺りで屋久杉の伐採が行われ、その伐採した木を運び出すのにこのトロッコ道が使われたようです。今はトロッコはほとんど稼動していませんが、運が良ければその姿を見ることができるかもしれません。この辺では北海道でも見られる、ナナカマド、ハリギリという木が見られました。北海道とは全く気候の違うこの屋久島でもきちんと生きていけるとは驚きですね。しかし屋久島ではこのような落葉樹は基本的にほとんど無く、常緑樹により構成されています。これは屋久島は雨が多く水分が豊富にあることと、冬でもそれほど寒くないことによります。
トロッコ道を抜けて木の根の露出する登山道に入っていくと、この翁杉が現れました。色々な植物に着生されて、いかにも年より、と言った感じがあります。着生と言うのは宿主から養分をもらったりするわけではなく、ただ早く高いところに行くためにその体にとりつくことを言います。だから基本的に着生されたからと言って成長が阻害されるわけではありませんが、中には恩知らずなやつもいて、ヤマグルマという木などは成長するにしたがって太くなり、最終的に宿主を絞め殺してしまいます。
これはいわずと知れたウィルソン株とその内部から切り株をのぞいた様子です。ウィルソン株の内部は大体10畳くらいの大きさがあります。自分の家の大きさと比べてみるのも良いでしょう(^-^)。またこのウィルソン株内部からは水が染み出していて、この水は延命水と呼ばれています。ウィルソン株は切られたとき、推定樹齢4000年であったと言われています。一説によると切ったのは豊臣秀吉ともされていますが…?さて、このようにずいぶん前に切られたウィルソン株ですが、雨の多い屋久島にあるにもかかわらず腐っていません。これはウィルソン株が普通の杉の約6倍の樹脂(抗菌作用がある)を持つためです。
ウィルソン株から続く急坂を越えていくと現れるのがこの大王杉です。今回見た屋久杉の中では一番迫力がありました。翁杉と比較してもらうとよくわかるのですが、翁杉がなんとなく樹皮の様子から年よりくささを感じさせるのに対し、この大王杉はあふれるようなエネルギーを感じます。実際には翁杉が樹齢2000年で大王杉が3000年で、大王杉のほうが年よりなのですが…。さて、ここで葉っぱに注目してみてください。大王杉は当然杉ですから葉っぱは細くとがっているものなのですが、それ以外の広葉樹っぽい葉っぱも混じっていますね。これはナナカマドやヤマグルマと言った木が着生しているからです。着生については先ほど翁杉のところで説明した通りです。この辺りは本当に屋久杉が多くありました。ちなみに屋久杉と言うのは普通の杉と結局は同じなのですが、1000年以上の樹齢の木については人々が畏敬の念をこめて屋久杉と呼んでいるようです。
ついに姿をあらわした縄文杉です。ここまで来るのは長かった…。一目見たときの印象はやはり神です。大王杉ほどのあふれるようなエネルギーは無いのですが、風格があってみるものを圧倒します。この縄文杉にもたくさんの着生植物が着いているのですが、それらに侵されているという感じはさらさら無く、むしろそれらがあって本来の姿なのだという気がしました。縄文杉の樹齢は7200年説、2170年説、6300年説など色々な説がありますが、未だに決着はついていません。